20世紀の巨匠たちに出会えるパリ市立近代美術館、入場無料でも見どころたっぷりパリのアートスポット

パリ市立近代美術館(Musée d’Art Moderne de Paris)は、エッフェル塔の反対側トロカデロに位置し、1937年国際博覧会のために建てられた壮大な宮殿パレ・ド・トーキョーの東館にあたります。

20世紀から21世紀にかけてのフランス芸術を中心にしたモダンアート、絵画、彫刻、デザイン、写真、ビデオアートなど約15,000点で構成されています。

市と寄付金によってサポートされているため入場は無料です。コレクションには、アンリ・マティス、パブロ・ピカソやモディリアーニなどのモンマルトル『バトー•ラヴォワール(洗濯船)』の巨匠たちが残した絵画や、シュールレアリスム、モダンアート、次世代の新興アーティストの作品が鑑賞でき、無料でも見応えたっぷりです。

個人的に感じたパリ市立近代美術館の魅力や見どころ、訪問時のポイントについて紹介します。


パリ市立近代美術館

入場料無料
開館時間10:00- 18:00
閉館日火曜、1月1日、5月1日、12月25日 
コインロッカーあり
作品の数約1万5000点
作品の種類絵画、彫刻、デザイン、写真など
所要時間2、3時間
空いてる時間帯10時-13時頃
有名作品アンリ・マティス(Henri Matisse)”La Dance”など
住所11 Avenue du Président Wilson 75116 Paris(Google Map
公式サイトパリ市立近代美術館公式サイト


パリ市立近代美術館に訪れる価値があるのはなぜ?

アンリ・マティス(Henri Matisse)”La Dance” 1931-1933

・無料入場の常設展

パリ市立近代美術館では常設展が無料で公開されており、アンリ・マティス、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックなどの名作をじっくり鑑賞することができます。特別展は有料ですが、事前にチケットを購入することでスムーズに入館できます。

・美術館の建築とロケーション

パリ市立近代美術館の建物は、アール・デコ様式、そのシンプルで優雅なデザインが、展示されている現代美術と見事に調和しています。セーヌ川のほとりにあり、美術館周辺のトロカデロ広場やエッフェル塔の景色も楽しめるため、観光とアート鑑賞を同時に満喫できる絶好のロケーションです。

・巨大絵『La Dance(ダンス)」に制作しているアンリ・マティスの映像

どのように描かれたのかパネルによる説明や、当時の様子がビデオで残されていて、彼の愛犬と一緒に作業に向かっているアンリ・マティスが見ることができます。

巨大なキャンバスに描かれたこの作品は、マティスの代表作の一つで、彼の色彩へのこだわりとエネルギーが感じられる一枚です。館内でも一際目立つこの作品は、訪れる人々を圧倒します。


パリ市立近代美術館の個人的な感想

左:アメデオ・モディリアーニ(Amedeo Modigliani)”Femme aux yeux bleus”1918、右:シャイム・スーティン(Chaïm Soutine)”Torse au fond bleu”1928、仲良しだった二人の絵が隣同士に飾られています

美術館に入ると目の前に案内カウンターがあ離ます。そこで無料の冊子とオーディオ案内をダウンロードします。そしてその奥にある階段で4/5階へ上がります。

ぐるっと部屋を囲むように、色彩の魔術師といわれたRaoul Dufy(ラウル・デュフィ)の絵画『La Fée Electricité(電気の妖精)』1937が現れます。

世界博覧会の電力パビリオンで展示するためにパリの配電会社から依頼をうけたRaoul Dufy(ラウル・デュフィ)は、紀元前の哲学者ルクティウス(Lucretius)が解く”事物の本質について”からインスピレーションをうけて、電気の発展に貢献した科学者や発明家、そして神話や寓話からなど110人がこの湾曲した巨大なキャンパスに描きました。

フォーヴィスム(野獣派)の彼の作り出す世界は、絵から放たれる光から少し眩しくもあり、しかし自然の光のようにも感じられる空間は必見です。


キュビスム:ジョルジュ・ブラックGeorges Braque

ジョルジュ・ブラック(Georges Braque) ”Nature morte a la pipe” 1914

彼が日常に使っているものパイプやグラスやドミノをオブジェクトにさまざまな角度から立体的に描かれています。彼は”それぞれの何もない空間にも何か描く必要がある”と考え、彼はその空間に砂を用いています。また偽の紙や木などのテクスチャーを使い、それらのイメージの実体を補強しています。

このような合成された作品はキュビスム最後の時期に見られます。


シュールレアリスム:マリー・トワイヤン(Marie Toyen)

マリー・トワイヤン(Marie Toyen)”Le paravent” 1966

トワイヤン(Toyen)という名前で活動していた本名マリー・セルミノヴァ(Marie Cerminova)、彼女はチェコ出身でシュールレアリスム運動の中心にいた女性芸術家です。

手前に男性のような影があり、真っ赤に口紅を塗られた人間のような口を持つ豹から女性のシルエットが浮かんでいます。その二人はドア越しに向き合っています、そのドアには蛾のような蝶が二匹お尻を合わせて止まっています。

人物はシルエットとはっきり描かれておらず、豹や蝶といった動物ははっきりと描かれていて、抽象画のような印象をうけます。

この絵はシュールレアリスムの創設者でもあったAndré Bretonが亡くなった年に描かれています。全体的にミステリアスで、ずっと見ていると引き込まれます。


ナビ派:エドゥアール・ヴュイヤール(Édouard Vuillard)

エドゥアール・ヴュイヤール(Édouard Vuillard)”Portrait d’Aristide Maillol” 1930-1935

彼の絵は、モデルになっている人の日常風景を描いていることが多く、写真のようでもあり写真でもない、今にも動き出しそうなくらいリアルです。

彼の絵を前に、私は足が止まり、心がふわぁっと暖かくなり、色彩からセンチメンタルにも感じ、なんともいえない哀愁を感じました。


エキシビション:クリスチャン・ボタンスキー(Christian Boltanski)”Réserve du Musée des Enfants I et II”1989

クリスチャン・ボタンスキーによる、1989年の展覧会”Histoire de musée”の時に作られた、人間の生命の脆さを表現しているエキシビションです。

壁には新聞や雑誌から切り抜かれた白黒写真の子供達、ストックルームのような、金属の棚にぎゅうぎゅうに押し込まれた大量の子供たちの衣類。

この建物の地下は、第二次世界大戦中にはユダヤ系市民から没収された資産の倉庫になっていましたと聞いたので、この場所に保管されていたのかと考えると、空気が止まったような匂いと相まって、歴史の悲劇と遺物を肌に感じます。


パリ市立近代美術館のレストラン、ブックショップ

館内には、アートにインスパイアされたグッズを取り揃えたショップや、パリの景色を眺めながらリラックスできるカフェもあります。

・ブックショップ

パリ市立近代美術館に展示されているアーティストたちに関連した本から、文具やポストカードなど置いています。

https://www.mam.paris.fr/en/bookshop

・レストラン『Forest』:

レストランForestは、夏は美術館のテラス、秋から屋内レストランで、Moma GroupからシェフのJulien Sebbagと芸術監督のDorion Fiszelによる宴のような雰囲気の中で食事ができます。

地元の食材を使った季節の料理を楽しむことができ、アート鑑賞後のひとときにぴったりです。

https://www.mam.paris.fr/en/restaurant-0


パリ市立近代美術館おすすめ時間と所要時間

左側にはSonia Delaunay “Rythme, décoration pour le Salon des Tuilentries”1938、奥にはRobert Delaunay”L’equipe de Cardiff”1912-1913絵画が見えます

おすすめは平日の10時から13時ころです。私が訪れたのは火曜日10時過ぎと、ほぼ開館と同時に入りましたが人は少なかったです。

・所要時間

2時間ほどあれば見て回れるかと思います。各展示画に椅子が置いてあるので、お気に入りの作品の前に座って、ゆっくり眺めオーディオから流れてくる説明を聞きながら、その時代背景を考えたりアーティストの気持ちを想像してみたりしていると、3時間ほど滞在していました。


さいごに

パリ市立近代美術館は、20世紀から現代にかけてのアートに触れることができる貴重なスポットです。パブロ・ピカソやアンリ・マティスなどの巨匠たちの作品や、シュールレアリスム、ニューレアリスムなどの作品を間近で鑑賞できるこの美術館は、アート好きにとって見逃せない場所です。

エッフェル塔とシャンゼリゼの間、トロカデロ駅から徒歩圏内にあり、アクセスも便利です。美術館周辺には他にも観光スポットが多いため、1日の観光プランに組み込むこともできます。

次回のパリ旅行では、ぜひパリ市立近代美術館を訪れて、モダンアートの世界に浸ってみてください。

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