リュクサンブール公園の近く、小さな路地を抜けると、ザッキン美術館(Musée Zadkine)があります。ロシアの彫刻家オシップ・ザッキン(Ossip Zadkine)と、彼の妻であり画家のヴァランティーヌ・プzラックス(Valentine Prax)が住んでいた住居兼アトリエを、1982年に彼の妻が亡くなった後、パリ市に寄贈されザッキン美術館になりました。
ザッキン美術館は、20世紀彫刻界の巨匠オシップ・ザッキンの世界を存分に味わえる隠れた名所。定期的に開催される企画展では、ザッキンの作品とともに、彼と関係の深いアーティストの作品も紹介され、彼の影響力や芸術の流れをより深く理解することができます。
オシップ・ザッキン(Ossip Zadkine)
1888年、ヴィテプスク(当時ロシア帝国領現在ベラルーシ)に生まれる
1910年後半、パリへ移住、「Montparons」としてモンパルナスへ
1920年、ヴァランティーヌ・プラックスと結婚
1920年代、素描や木版画、詩の執筆
1950年、ヴェネツィア・ビエンナーレ「彫刻大賞」受賞
1951年、彫刻作品「破壊された都市」制作
1961年、フランス「芸術国家対象」受賞
1962年、パリのエコール・で・ボザール(国立美術学校)教授
1967年、パリにて死去、享年77歳
小さい美術館なので、人が混んでいると、狭くて動きにくい部屋もありましたが、作品をすぐ近くで見ることができるので、彼ならではの自然素材を活かす彫刻、木や石を使った造形美をじっくり鑑賞できます。
椅子に座って草木や彼の作品を眺めていると、木も作品のように見えてきたり、鳥の声もスピーカーから流れているかと錯覚するくらい、完璧に調和されていて、ただ美しく、他のことを忘れ、時間が止まったような感覚になりました。

出典:https://www.zadkine.paris.fr/en
この日は、彼の長年の友人だったアメデオ・モディリアーニ(Amedeo Modigliani)との企画展でした。
彼らは1913年にリュクサンブルグ公園の入り口で出会い、そこから「モンパルナス」第一次世界世界大戦を境に、彼らの関係は変わっていったといいます。
モディリアーニは彫刻から絵画へ転向していき、戦争から帰ってきたザッキンは、今までの流線的なフォルムと、ロダンのような情念、キュビスムを併せ持つ独特な世界を築いていきました。
ここは彼の創作を間近に感じられる美術館としての魅力だけでなく、美しい中庭は、静かで落ち着いた雰囲気の中で芸術を楽しめるのも魅力です。パリで有名な美術館巡りの合間に、芸術と自然に癒される特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
ザッキン美術館(Ossip Zadkine)
開館時間:10:00~18:00(休館日:月曜日)
入場料:9ユーロ(モディリアーニ特別展)、常設展は無料
所在地:100 bis Rue d’Assas, 75006 Paris, France
公式サイト:ザッキン美術館
所要時間:1時間ほど
混み具合:2025年3月末、平日のお昼12時に来ました。チケットなしの列には10人ほど並んでいましたが、30分ほどで入館できました。
広さ:6つの展示室のほか、「庭のアトリエ」があり、屋外にもブロンズ像が展示されています。
作品:木像、石像、陶像、石膏、ブロンズ像、デッサン