2024年12月11日から2025年3月19日まで、パリのグラン・パレ(Grand Palais)で開催された塩田千春(Chiharu Shiota)の個展『魂がふるえる』(The Soul Trembles)。赤い糸で空間を埋め尽くす圧倒的なインスタレーションが話題を呼び、前売りチケットは完売となりました。

3月の平日午前11時半、気温は1度の少し霧がかかったような寒空のパリ。すでに前売りチケットは完売しており、当日券を求めて約30人が列を作っていました。

グラン・パレの優美なアール・ヌーボー様式の内装に、塩田千春の赤い糸のインスタレーションが映える光景は圧巻です。

塩田千春(Chiharu Shiota)

大阪府岸和田出身、京都精華大学芸術学部で油絵を学ぶ
彫刻科で村岡三郎の助手を務める
ポーランドの彫刻家マグダレーナ・アバカノヴィッチ(Magdalena Abakanowicz)の個展で感銘を受ける
1996年、ヨーロッパへ渡り、彼女に師事
1997年、パフォーマンス・アートの先駆者マリーナ・アブラモヴィッチ(Marina Abramovic)、ベルリン芸術大学でレベッカ・ホーン(Rebecca Horn)に師事
1999年からベルリンを拠点に、作品を発表
1993年から2024年まで、300以上の個展、グループ展、ビエンナーレなどに参加

『魂がふるえる』(The Soul Trembles)は、2019年、東京・森美術館で初開催され、アジア、オーストラリアを周り、パリでの個展となりました。


塩田千春展(Chiharu Shiota)没入型空間『魂がふるえる』(The Soul Trembles)

グラン・パレに入ると、まず天井から吊るされた大型インスタレーション『どこへ向かって』(Where Are We Going)が来場者を迎えます。グラン・パレの白い大理石の階段とアール・ヌーボー建築が、作品の存在感をさらに引き立てます。


不確かな旅』(Uncertain Journey)2016

この個展のプロローグとともに、赤い糸が張り巡らされた『不確かな旅』(Uncertain Journey)の空間へ。部屋全体を覆う赤い毛糸は、まるで体内の血管や神経のネットワークのよう。一本の糸を目で追っていくと、複雑に絡み合い境界が曖昧になり、思考が宙に浮いたような感覚に包まれます。

部屋一面に、赤色の毛糸が絡み合い繋がっていて、体内の組織に入り込んだようでした。表面ではまだ糸の境界線は見えるけど、その先を追っていくと複雑に絡まり合っていき、そのうちその前にあった糸の状態もわからなくなり、思考回路が止まっていきました。そしてまた他の一本の糸を辿っていくとその糸がどこかに行ってしまい、思考は無重力に漂っていました。


集積 – 目的地を求めて』(Accumulation Searching for the Destination)2016

最後の部屋では、太い赤い糸に吊るされた数十個のヴィンテージのスーツケースが階段上に配置されています。時折スーツケースが揺れる様子は、それぞれの持ち主の記憶や旅の思い出が詰まっていて、それがその人と共鳴してイルカのようでした。

初めの部屋では、赤い糸が体内の組織のように細く複雑に絡み合っていたのに対し、最後の部屋では、太くまっすぐな赤い糸がスーツケースと繋がっていて、その対比が印象的で興味深かったです。
細い糸が内面の複雑な感情を表現しているとすれば、太い糸は人生という旅路の明確な軌跡を象徴しているようにも感じられます。


塩田千春が表現する生と死、身体と魂

個展のプロローグには、塩田千春自身の言葉が記されていました。病気の再発を経験し、生きるのに精一杯な状況のなか、この個展への構想を練っていたこと。そして、生命があるときは体と魂は共にあり、その後はどうなるのか、という問いから、この個展は始まりました。

生と死、身体と魂の関係性を深く見つめた展示には、チューブにつながれた女性が横たわる映像作品がありました。心拍のような一定のリズムで赤い液体がチューブの中を移動する様子を見ていると、自然と自分の身体の内側に意識が向かいます。臓器をモチーフにしたドローイングと相まって、生命の儚さと強さを同時に感じさせる体験でした。


感想と考察|Impressions and Reflections

赤い糸や臓器のモチーフはグロテスクに感じられることもあります。しかしそれは、生きることの本質そのものではないでしょうか。美しいことだけでなく、痛み、苦しみ、醜さもふくめて、生きているという現実。塩田千春の作品は、そのすべてを肯定的に包み込むような温かさを持っています。

会場には100人を超える来場者がいましたが、誰もが静かに作品と向き合っていました。しかし不思議と、ザワザワと揺れ動く気配がありました。それは自分自身の内側だけで起こっているのか、それとも空間全体に広がっているものなのか、言葉にならない感情が流れる空間でした。鑑賞後には、瞑想を終えたような心地よい疲労感と、心が軽くなる感覚が残りました。


訪問のヒント

アクセスと周辺情報

グラン・パレは、パリ8区のシャンゼリゼ通り近くに位置する壮麗な美術館です。地下鉄1号線または13号線のシャンゼリゼ=クレマンソー駅(Champs-Élysées – Clemenceau)から徒歩3分ほどで、セーヌ川沿いに佇むアール・ヌーボー建築の美しい外観が目印です。周辺にはエッフェル塔やシャンゼリゼ通りなど、パリを代表する観光スポットが集まっています。

周辺の見どころ

✓ シャンゼリゼ通り - 徒歩5分、パリを象徴する大通り
✓ プティ・パレ美術館 - 道路を挟んで向かい側、無料の市立美術館
✓ アレクサンドル3世橋 - 徒歩3分、セーヌ川にかかる最も美しい橋


入館のコツ

人気の展覧会は、事前予約をおすすめします。塩田千春展は前売りチケットが完売したため、当日券を求めて長い列ができました。展覧会によっては入場時間が指定されることもあるので、公式サイトで事前にチケットを購入しておくことを強くおすすめします。


パリ滞在中はWi-Fi環境が必須

美術館の場所を確認したり、チケット予約をしたり、シャンゼリゼ通りのカフェを探したり。パリ旅行を快適にするには、インターネット環境が欠かせません。

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パリ・ミュージアムパス

複数の美術館を回るなら、パリ・ミュージアムパスが便利です。ルーヴル美術館、オルセー美術館など、50以上の施設に入場できます。


さいごに

塩田千春の糸を使った大規模インスタレーションは、展覧会が終了すると解体されます。つまり、その時、その場所でしか見ることができない一期一会の芸術作品なのです。

同じ作品が二度と同じ形で現れることはありません。だからこそ、その瞬間に立ち会えたことの貴重さを、会場を後にする時に強く感じました。

機会があれば、ぜひ塩田千春が創り出す世界を体験してみてください。それがどんな感情なのかは、あなた自身が感じてみてください。

塩田千春展 『魂の震え』The Soul Trembles)

2024年12月11日 - 2025年3月19日 
会場: グラン・パレ(パリ)
入場料: 14€
所要時間: 2時間

当日の会場の様子は、Instagramでも写真とともにご紹介しております。お時間があればぜひご覧ください。→ [Instagramはこちら]


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