大阪中之島美術館で歌川国芳の浮世絵展!現代アートにも影響を与えた奇才の世界
江戸時代の浮世絵師・歌川国芳は、ダイナミックな構図とユーモアあふれる作風で知られ、現代の漫画やアートにも影響を与えた奇才です。そんな彼の世界を堪能できる特別展が大阪中之島美術館で開催されました。
彼の代表作である武者絵・風刺画・擬人化作品など多彩なジャンルの浮世絵、そして肉筆や木版など約400点が展示されていました。迫力のある武者絵から繊細な風景画、愛らしい猫の絵は必見です。
中之島美術館・歌川国芳展(2024年12月21日ー2025年2月24日)
入場料:1800円
作品の数:402点
所要時間:2時間
有名作品:相馬の古内裏(そうまのふるだいり)
歌川国芳とは
歌川国芳(1797年-1861年)は、江戸時代末期に活躍した浮世絵師。12歳の時に描いた『鍾馗提剣図』が初代歌川豊国の目に留まり、15歳で入門。歌川派の一員として活躍し、”武者絵の国芳”と称されていました。
同時代の葛飾北斎や歌川広重と並ぶ実力派でありながら、彼の迫力ある武者絵や大胆なパロディ作品は他の浮世絵師とは一線を画しています。
・デザインセンスと影響力
彼の奇抜な構図や独創的な作風は、水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』や手塚治虫など、多くの漫画家が歌川国芳の妖怪がや風刺画にインスピレーションされたといわれています。
また19世紀後半にジャポニスムブームでヨーロッパに渡り、西洋美術、特にフランスの印象派に影響を与えました。ゴッホやモネなどの印象派画家たちは、歌川国芳を含む浮世絵の色彩や構図に感銘を受けたといわれています。
彼の作品は、近代漫画やアニメ文化だけでなく現代アートに通じるアーティストでもあったといえます。
中之島美術館の歌川国芳展

説明
”読本「善知安忠義伝」にもとづいた作品。平将門の亡霊が操る巨大な骸骨が、武士たちを襲う幻想的な場面を描いています。原作では数百たいもの骸骨たちが現れるところを、彼は一体の巨大な骸骨として描いている。”
遠近法を駆使したダイナミックな構図と、力強い筆運びと陰影の強調により躍動感を感じます。また甲冑や衣服のディテールが細かく、戦闘シーンの迫力が伝わってきます。

天保2-3年(1831-32)頃/木版、紙|横大判
説明
”夜に紛れ、吉良邸へと討ち入る赤穂義士を描いています。
ヨハン・ニューホフ著『東西海陸紀行』(第7章 No.366)の銅版画挿絵を元にしたとされています。”
影を取り入れた西洋の風景画のように、また水墨画のような淡い色彩から柔らかい印象を受けます。

武者絵やなどが並んでいる途中、猫だらけのエリアが出てきて和みます。
彼は猫が大好きで、猫を数十匹飼っていました。リアルな猫の仕草や表情を細かく表現し、愛らしさとユーモアを加えています。
江戸幕府の長期政権により比較的穏やかな時代でしたが、江戸時代後期になると幕府の締め付けが厳しくなったため、国吉は風刺画を通じて批判しました。
そのため彼は猫を擬人化し、人間社会の風刺を描いたり、ダジャレや言葉遊び、また幕府の政策を批判する隠喩表現を用いて、社会に対してユーモアあふれる戯画や風刺画も描いていました。

大阪中之島美術館で歌川国芳の作品を見ていると、だんだんと江戸時代にタイムスリップしていました。
じゃり道とごげ茶色の木造住宅、人々は丁髷を結い、子供たちは竹蜻蛉で遊び、子供をおんぶした女性が前に木の桶を持ちながら、せわしなく行き来している風景の中に、歌川国芳の浮世絵が刷られた絵を配る人、そしてそれを楽しく見ている人など、その時代の人たちと同じものが見られていると感慨深いものがありました。
さいごに
歌川国芳の作品が現代でも魅力的なのは、
・大胆な構図と迫力のある武者絵で、漫画やアニメにも影響を与えた。
・ユーモアあふれる風刺画や擬人化作品から、知的で見るものを楽しませる。
・妖怪や幻想的な作品の多様性から、伝統と新しさを優遇させた独創的なスタイル。
このように彼の作品は、単なる浮世絵にとどまらず、アート・風刺・ポップカルチャーの先駆けとして、国内だけでなく西洋美術にも影響を与え、また彼のユーモアと創造性は、時代を超えて人々を魅了し続けているのです。