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フランス北部ノルマンディー地方・オンフルールのエリック・サティの家で体感する、音楽の歴史と芸術的な空間

フランスの美しい港町オンフルールには、多くの観光客が訪れるスポットがあります。その中でも、特に音楽と芸術に興味がある方にとって見逃せないのが「エリック・サティの家」です。

エリック・サティ(1866-1925)は、フランスの作曲家・ピアニストであり、その彼の革新的な音楽スタイルは、クラシック音楽から現代音楽に至るまで多大な影響を与え、今日でも多くの人々に愛されています。サティの音楽は、そのシンプルさと独創性で知られており、音楽界の異端児ともいわれており、多くの作曲家やアーティストにインスピレーションを与えました。

この歴史的な場所は、近代音楽の先駆者であるエリック・サティが生まれた家であり、彼の人生からどうやって逸脱した芸術が生まれたのか、音楽だけでなく彼の内面にも触れることができる貴重な場所です。


エリック・サティの家の魅力

パリ・モンマルトルの彼のアパートの様子


フランス・オンフルールの中心部に位置する「エリック・サティの家」は、彼の生誕地であり、彼の人生や作品について学べる博物館となっています。館内は、彼の音楽や美術作品を展示するだけでなく、訪れる人々が体験しながら楽しめる工夫がされています。

特に注目すべきは、彼の音楽が流れる中で展示を楽しむことができる点で、まるで彼の頭の中に引き込まれるかのような体験ができます。


エリック・サティの家の個人的な感想


・フランス人でも理解が難しいフランス語の造語メモ

入場料を支払い、英語かフランス語のオーディオガイドを着けます。展示品の前に行くと、センサーが反応して、自動的に説明が流れてきます。

流れてくるオーディオガイドの説明を英語で聞きつつ、しかし展示品のパネルはフランス語表記のみなので、理解するのは難しかったです。

翻訳を使っても理解できず、フランス語圏の人に聞いて見たけど、サティの独特な世界観を、比喩や造語によって表現されているため、感覚では理解できるけど、頭で説明しにくく、読んだ人がそれぞれ感じる世界だから、通訳するのも難しいと言っていました。

しかし彼は独創的で豊かな感性を持っているので、フランス語勉強中で、理解は難しくても、感性を刺激されること間違いないと思います。


エリック・サティの家の訪問ポイント・所要時間

フランス・オンフルール『エリック・サティの家』


オンフルールの港から古いアパートメントの道を歩いていくと、エリック・サティの家は見えてきます。入り口に近づくにつれて、彼の曲が聞こえてきます。彼が今、この家の中でピアノを弾いているのかと錯覚しました。

・ガイド付きツアー

エリック・サティの家を訪れる際には、ガイド付きツアー、もしくはフランス語が理解できた方がなお楽しめることと思います。

・所要時間

博物館自体は小さく展示品の数は少ないけど、彼のメモや芸術品を一つ一つ理解しながら観て回ると1時間ほどかかると思います。

ツアーでは、サティの生涯や彼の作品にまつわるエピソードを深く学ぶことができ、より一層理解が深まります。また、博物館ショップでは、サティに関連する書籍やCD、記念品が購入できるので、旅の思い出に最適です。


さいごに


オンフルールに行ったら絶対に行きたかったエリック・サティの生家。変わり者といわれていた彼の博物館に期待を膨らましていったけど、斜め上をいく不思議な館でした。

彼は自身の感覚に忠実に正直に生きたため、人には理解されず孤独に人生を送っていたように思います。

エリック・サティの家は、彼の音楽が好きな人だけでなく、芸術に触れる時間として、彼の生家を訪れるのは有意義な時間になることでしょう。

フランス・ノルマンディーへの旅行を計画している方は、ぜひオンフルールのエリック・サティの家を訪れてみてください。

印象派の名作が集う!ル・アーヴのマルロー美術館の魅力を紹介

フランス北西部、ノルマンディー地方に位置するル・アーヴ、ここの海沿いにあるマルロー美術館(MuMa)は、印象派の名作を数多く所蔵している美術館です。その現代的な建築と、素晴らしいコレクションにより、フランス国内外から多くの美術愛好家が訪れています。

マルロー美術館は、フランスの文化大臣を務めたアンドレ・マルローにちなんで名付けられ、ル・アーヴの象徴的な文化施設の一つです。この美術館は、フランスで最初に公共の近代美術館として設立され、特に印象派や近代美術の作品で知られています。

この記事では、マルロー美術館の魅力や見どころを詳しく紹介します。

⚫︎マルロー美術館(MuMa)のクイック情報

入場料7€作品の数約205点保持(展示数は異なる)
予約チケット予約サイトから作品の種類絵画、彫刻、写真
開館時間11:00-18:00
(土日:19:00、月曜日閉館)
芸術形式印象派
おすすめ時間13時-15時頃有名作品『散策する女/ ピエール=オーギュスト・ルノワール』、
『The Waltz/ フェリックス・ヴァロットン 』、
『Waterlilies/ クロード・モネ』
所要時間1時間

公式サイトhttp://www.muma-lehavre.fr/en/
住所2 Bd Clemenceau, 76600 Le Havre(地図
エリアフランス北西部 ル・アーヴ
オーディオガイドあり
(作品下に表記されているGQコードからDL)
クローク、トイレ、レストランあり


1, マルロー美術館に訪れる価値があるのはなぜ?

Pierre-Auguste Renoir/ L’excursionniste 1888年 – 1919年


・印象派の宝庫

マルロー美術館のコレクションには、クロード・モネ、オーギュスト・ルノワール、エドゥアール・マネといった著名なアーティストの絵画が展示されており、パリのオルセー美術館に次いで2番目に印象派コレクションが豊富な美術館です。印象派の巨匠たちの知られていない作品から、印象派の豊かな表現をじっくり鑑賞することができます。


・現代的な建築と海との調和

マルロー美術館は、海沿いに位置しており、その現代的なガラス張りの建築は、内部と外部の境界を曖昧にする設計が特徴です。また、海を望むことができる美しいロケーションも、美術館の大きな魅力の一つです。


2,マルロー美術館の個人的な感想

Claude Monet/ La Seine à Vétheuil 1878

マルロー美術館の前に、ちょうどパリのオランジュリー美術館でクロード・モネの睡蓮の池をパノラマで見ていたこともあり、ここのマルロー美術館の照明に少しがっかりしていました。

外は曇雨でそこまで明るくないとはいえ、いくつかの絵画が光に反射して色が飛んでしまっていたのは残念でした。

しかし著名な印象派たちの有名な作品以外に、まだ知られていない作品を見ることができるので、とてもおすすめです。

時代が変わっても、自然が織りなすノルマンディーの美しさを、色々な芸術家の表現によって、さらに楽しめます。

・エキシビション・ノルマンディー写真展

その印象派の下の階にはその時のエキシビションが展示されていました。この時はノルマンディーの写真展で、撮影技術が発明されてすぐの写真が展示されていました。

私が印象的だったのは、1枚の人物写真。はじめは大人かと思ったのですが、その写真のタイトルは、子供たち。しかしその子供たちの顔は、幼さはなく大人びていて、そして目は虚ろで無感情の顔でカメラを見ていました。

特に人物写真では、今のように笑っているものはなく、モノクロのせいか悲壮感やその時代背景を感じる写真でした。


3, マルロー美術館のレストラン

レストラン Les Fauves:Website https://lesfauves.fr/

マルロー美術館の地下に、大きな窓からル・アーヴの港と海が一望できるレストラン『Les Fauves』があります。

ル・アーヴの港町の風景が、印象派の芸術家たちにインスピレーションを与えたように、美術館のレストランでの食事もまた、芸術的なインスピレーションの一部となるでしょう。

作品と自然、そして食文化が織りなす一体感を感じながら、ここでしか味わえない特別な体験を楽しむことができます。


4, マルロー美術館のおすすめ時間と所要時間

Èugene Boudin/ Étretat, Le Harve

印象派の作品は1階(日本式2階)に展示されており、壁一面にウジェーヌ・ブーダン(Èugene Boudin)の絵画が出迎えてくれます。そこからギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet)、アルフレッド・シスレー(Alfred Sisley)、カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro)、エドゥアール・マネ(Èdouard Manet)、ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)、クロード・モネ(Claude Monet)などの作品を鑑賞できます。

作品ごとにゆっくり鑑賞していっても、1時間ほどあれば見て回れます。8月中旬、お盆の時期(13時頃)に行きました。入場で5組ほど並んでいて少し待ちましたが、チケット購入後は待つことなく入ることができました。

館内は人が多すぎず少なすぎといったくらいで、人と重なることもなく、じっくり鑑賞できました。


5, さいごに

ル・アーヴのマルロー美術館は、印象派を中心とした多彩なコレクションと、現代的な建築が調和した素晴らしい美術館です。フランスの芸術文化を深く理解し、心ゆくまでアートを楽しむことができるこの場所は、美術愛好家や観光客にとって必見のスポットです。

フランス・ノルマンディーを訪れる際には、ル・アーヴのマルロー美術館を訪れて、フランスの豊かな芸術遺産に触れてみてください。

モネの『睡蓮』を堪能する!オランジュリー美術館の魅力

オランジュリー美術館は、ルーブルの隣、チュルリー公園内に佇む、シンプルな内装の美術館です。パリを代表する美術館ですが、1日から半日は要するルーブル美術館やオルセー美術館と違い、規模は小さめなので一つ一つ作品を堪能できます。

ここでしか見ることができないクロード・モネの集大成、『睡蓮』の巨大なパネルが360度パノラマに置かれた作品は、そこは美術館ではなく、彼が愛したジヴェルニーの池にいる気持ちになるでしょう。

オランジュリー美術館のクイック情報

入場料:12.50€
タイムスロットの予約:あり(こちらから)
開館時間:9:00-18:00 火曜日閉館
ナイトミュージアム: 木曜日
無料開放日:第一日曜日(要予約)
ミュージアムパス:あり
作品の数:約150点
作品の種類:絵画、オブジェクト
芸術形式:印象派、ポスト印象派
所要時間:1時間半
空いてる時間帯:午前中
有名作品:クロード・モネ『睡蓮』シリーズ
建設立:1852年ナポレオン3世が作った温室を改造
建築家:カミーユ・レフェーヴル
住所:Jardin des Tuileries Place de la Concorde(côte Seine)75001 Paris
最寄り駅:コンコルド駅(Concordo)
Metro1、8、12号線
オーディオガイド(日本語):あり(5€)
ショップ、カフェ:あり(地下1階)
ロッカー:あり(リュックやベビーカー、大型荷物のみ)
公式サイト:オランジュリー美術館

オランジェリー美術館は訪れる価値があるにはなぜ?

クロード・モネ(Claude Monet)『睡蓮』(Les Nymphéas)
1918年11月11日の終戦の翌日に、モネの友人であるジョルジュ・クレマンソーを介して、平和のシンボルとしてフランスに贈られました。

クロード・モネの集大成『睡蓮』シリーズをパノラマで見ることができます。また2006年にオランジュリー美術館のリニューアル後、クロード・モネの『睡蓮』の部屋には、天井にガラスがはめられ、そこから差し込む光によって、絵画だけでなく部屋全体が変化し、過ぎゆく時間と無限の世界を感じます。モネ自身が表現した”すべての果てしない幻影、水平線と岸辺のない波”の風景といえるでしょう。

1893年以降、自宅のジヴェルニーの日本庭園からインスピレーションを得ながら、すべての壁を包み込み一体化するパノラマ作品を思いつきました。円形から楕円形、そして無限のシンボルを描く二重の楕円形へと変化し、8枚の睡蓮の作品で、観る人を包み込むような空間にしました。

彼の絵は、同じ場所で時間や季節によって光の加減が変わり続ける様子を描いてきました。室内にいながら外の天気が館内に反映されることにより、パノラマに置かれた睡蓮の絵画を見ていると、モネが愛したジヴェルニーの池にいるような錯覚をもたらします。

年々視力が衰えていったクロード・モネが見る睡蓮の池が、このオランジュリー美術館で彼と共に生き続けています。20世紀前半の絵画作品の中で最も偉大な作品の一つとされています。

オランジェリー美術館見どころ

アンリ・ルソー(Henri Rousseau):La Carriole du père Junier ジュニエ爺さんの二輪馬車(1908

19世紀末から20世紀初頭の作品が集まっている、印象派からエコール・ド・パリの作品で、絵画コレクターだったポール・ギヨームの収集品の数々で作られています。

アンリ・ルソー(Henri Rousseau)に描かれるキャラクターはすべて真正面か真横を向いています。そして遠近法がほとんどない、2次元の絵から作られる独特なタッチです。彼は税関士として働きその合間に絵を描いていました。彼の絵の評価は賛否両論でしたが、ロートレック、ゴーギャン、ピカソなどが彼を評価していました。

マリー・ローランサン(Marie Laurencin):Portrait de Mademoiselle Chanel ココ・マドモアゼル・シャネルの肖像画(1923)

マリー・ローランサン(Marie Laurencin)は、ココ・シャネルと同じ年の1883年に生まれ、女性として自立し自由にいきたパリの女性画家の1人。

1920年代、パリの社交界では彼女に肖像画を依頼することがステータスになっていました。ココ・シャネルも彼女に肖像画を描いてもらいましたが、出来上がった作品に満足できず、描き直しを依頼するもマリー・ローランサンは譲らなかったため、シャネルの手に渡ることがありませんでした。

フォーヴィスム:野獣派(Fauvisme)を代表するアーティスト、心が感じる色彩で描かれている。

この作品は、1人は読書をしていて、1人は冷静な目でこちらを直視している、後ろの女性も直視しているがどこか柔らかさを感じる。服装がそれぞれの雰囲気も出していて、違った個性を感じます。

アンリ・マティス(Henri Mattise)、Les trois soeurs 三姉妹(1917)

アンドレ・ドラン(André Derain)、Portrait de Madame Paul Guillaume au grand chapeau 大きな帽子をかぶったポール・ギョーム夫人の肖像(1928-1929)

彼もフォーヴィスム:野獣派(Fauvisme)を代表するアーティストの1人。この絵画はアートコレクターのポール・ギヨームの夫人、ドメニカ・ポール・ギヨームの肖像画です。

彼女はポール・ギヨームの死後、彼のコレクションを引き継ぎました。当時の法律では、遺産は息子にしか引き継がれなかったが、彼女には子供がいなかったため、男の子の養子をもらい、そのコレクションを引き継ぎました。しかしその養子が謎の死を遂げたため、世間からは疑いの目で見られていたといいます。

この絵からは彼女の本来の姿なのか、大衆からのイメージなのか、彼女の光沢のある上質なローブや大きな帽子から彼女のブルジョワな生活を感じられます。


オランジュリー美術館おすすめチケット

パブロ・ピカソ Pablo Picasso:Femme avec tambourin タンバリンを持つ女(1925)

オランジュリー美術館は、そこまで混雑しないと思いますが限りある時間を有効的に使うためにも、前日までにチケットを購入して、時間を予約することをおすすめします。

また毎月第一日曜日は、無料開放日になっています。予約は1ヶ月前からホームページからできます。


オランジュリー美術館の所要時間と最適な時間

私がオランジュリー美術館が訪れたのは、第一日曜日の無料開放日でした。オンラインで事前に予約していたのと、人数の制限もしていたと思うので、比較的空いていました。

14時にオランジュリ美術館に着き、同じ時間帯で入る人たちもいましたが、10人程度で、係の人にチケットを見せて、並ぶことなくスムーズに中に入ることができました。

一つ一つの展示場所に椅子があるので、そこに座って絵画を見ていきました。すべての作品を見終えた時に時間を見ると、1時間半たっていました。ショップもチェックするなら2時間あると余裕ですべて見て回れると思います。

空いてる時間帯は他の美術館と同じく、平日の午前中が適していると思います。


オランジュリー美術館を訪れるためのヒント

ヘンリ・ルソー Henri Rousseau:La Guerre 戦争 (1894)

  • クロークは無料、56×45×25cm未満のスーツケース、バックパック、リュックサックは預けられます。ベビーカーも置いている人がいましたが、ショルダーバックなどは預けられなかったので、軽装で行くことをお勧めします。
  • 写真撮影は許可されていますが、フラッシュや三脚その他の物理的な機器は禁止されています。
  • 各部屋に椅子があるので、座りながらじっくり観察できます。
  • 特別展示会については、こちらから→公式サイト


さいごに

オランジュリー美術館は、シンプルでこじんまりとしたミュージアムですが、それゆえに一つ一つの作品をゆっくり堪能できます。そしてクロード・モネファンにとっては、彼の芸術家としての集大成を見ることができるだけでなく、彼が愛した睡蓮の池で、少し座って静かに瞑想してみるのもいいかもしれません。

ここは見るだけでなく、体感型の美術館といってもいいかもしれません。

多くの美術愛好家や観光客を魅了し続けているオランジュリー美術館に一度訪れてみてはいかがでしょうか。

入場無料でも見どころたっぷりカルナヴァレ美術館(パリ市歴史博物館)Musée Carnavalet

ピカソ美術館やギャラリーが多く、旧市街地のような趣きが残るマレ地区に、カルナヴァレ美術館はあります。(別名:パリ歴史博物館)16世紀から20世紀の歴史的邸宅が、歴史的資料や文章コレクションが集められた、パリで一番古い美術館です。

パリの改造計画で失われる資料や調度品などを集めた博物館を作るため、1866年にパリ市が購入し、1871年に一般公開されました。隣接していたパリ市立歴史図書館をル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館と改名し、1989年に美術館の一部となりました。

パリの原点から現在に至るまでのパリの歴史を、年代順に回ってタイムスリップしてみましょう。

カルナヴァレ美術館のクイック情報

入場料:無料
予約タイムスロットの予約:なし
開館時間:10:00-18:00(最終受付:17:15)
閉館日:月曜、祝日
空いてる時間帯:10時-13時頃
所要時間:2-3時間
作品数:約62,5万点、展示数:3,800点
作品の種類:印象派、ポスト印象派、パリ前衛芸術
芸術形式:絵画、彫刻、家具、工芸品、装飾美術品、歴史的オブジェ、考古学コレクション、看板、写真、デッサン、版画、ポスター、メダル、コインなど
建設立:1548年(カルナヴァレ館)、1688年(ル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館)
建築様式:ルネッサンス様式
建築家:フランソワ・マンサールが1660年にカルナヴァレ館を改修、1960年代に建築家ピエールバレットがル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館を建築
アドレス:23 rue de Sèvignè 75003 Paris
場所:パリ3区(マレ地区)、最寄り駅:Saint-Paul
ガイド付きツアー:5-7€(フランス語または英語
Webサイト:カルナヴァレ美術館

カルナヴァレ美術館の見どころ

リュイネス・ホテルの階段 (1660), 建築家ピエール・ル・ミュエ

カルナヴァレ美術館は、1548年に建てられたルネサンス様式、17世紀中頃にバロック建築の第一人者でもある建築家フランソワ・マンサールが改修しました。今ではパリの歴史を深く知ることができる魅力的なスポットになりました。

中世時代のパリの街並み:ジョルジュ・カイン・ギャラリー

カルナヴァレ美術館に入ると、まずはじめに少し錆びて味のある看板や標識が出迎えてくれます。16 世紀から 20 世紀のにかけて、当時の人たちはこの看板を見ながら石畳を歩いていたと想像したら、ノスタルジックな気持ちになります。

・地下:先史時代:考古学コレクションの部屋

新石器時代(紀元前6500から紀元前4500)の遺跡(パリ15区アンリ・ファーマン通り)から発掘されたオーク木のカヌー

初めのセクションは、紀元前9600年から中世時代のパリ市内から出土したコレクションです。青銅器時代(紀元前2000年-800年)パリが『パリシイ(Parisii)』と呼ばれていた時代に使用していた硬貨、香水やワイン、蜂蜜に使用したボトル(4世紀)が展示されています。

また次の中世時代セクションでは、哲学者ヴォルテールのアームチェア、7世紀レアール地区にあるイノセントの墓地と、ピエールサラザン通りのユダヤ人墓地(12世紀と13世紀にパリに設立したユダヤ人コミュニティ)など、パリで発掘された出土品は見る価値があります。

・1階(日本式2階):パリ中世時代(1547年から18世紀)、16世紀半ばから17世紀

この階は、異なる時代のインテリアが再現された部屋が展示されています。ロココ調の部屋、ルイネスホテル(Hôtel de Luynes、17世紀)、デュゼスホテル(Hôtel d’Uzès、18世紀)、ブルトゥイユホテル(Hôtel de Breteuli、18世紀後半)、ここがかつてカルナヴァレ邸宅として、当時のブルジョワな人たちが生活と美的感覚を体感できます。

・2階(日本式3階):フランス革命と19世紀初頭

ルイ=シャルルとマリー=アントワネットの肖像画(フランス王室の中で、最年少であり最も短い期間の王)

次のセクションでは、『人間と市民の権利宣言』から始まり、国民の不満や飢えから起こったバスティーユ牢獄を襲撃、王政の崩壊とルイ16世一家の最後の時など、フランス革命の象徴的な場面や人物に関する展示品が、革命の流れとともに詳しく学ぶことがきます。

タンプル塔に幽閉されていた時のルイ16世一家の家具

パリのタンプル塔に幽閉されていた時のルイ16世一家の家具や小物、ボードゲームが展示されています。興味深いのはマリー=アントワネットの髪の毛が入った指輪や髪飾りです。彼女は投獄生活のストレスまたは、処刑のために短髪にしたためなのか、彼女はグレーヘアーになったと聞きました。そこに展示されている彼女の遺髪は確かに真っ白な髪の毛でした。

フランス革命によって誕生し、最後の王となったルイ・フィリップ王の机。革命家によって机の金具が何かで無理やり壊された跡が、生々しく残っています。何か重要な手紙が収められていたのかもしれません。

ルイ・フィリップ王の机、1848年2月24日革命家による侵入の痕跡

・芸術家たちの痕跡

ベル・エポック(19世紀末から20世紀初頭):ジャン・ベロー、アンリ・ジェルべクス、ルイーズ・アベマを含む40点以上の絵画

最後のセクションでは、パリにゆかりのある芸術家たちの作品や遺品が展示されています。小説家マルセル・プルーストの最後の寝室から来た家具、シンプルな真鍮性のベッドで『失われた時間を求めて』のほとんどを構成しました。寒がりだった彼が常に着ていた毛皮のコートと杖、天井と壁に敷かれたコルクプレート(窓に表示)によって、外気や外の音を消していました。

アルフォン・ミュシャのデザイン、宝石店『フーケ』の店内装飾

アルフォン・ミュシャが手がけた宝石店『フーケ』の店内は灯りが少なく暗い印象でしたが、当時の照明は今と違いこのくらい薄暗かったのかもしれません。

建築家アンリ・ソヴァージュと家具職人ルイ・マジョレルによるオペラ大通り41番地にある有名なレストランを再現している『カフェ・ド・パリ』。色合いや家具は、シックでエレガントなアールヌーボーを見ることができます。ここでお茶をしたらどれだけくつろげるか想像してるとここで一息つきたくなります。

ベルエポック時代の『サロン・ド・パリ』

・現代のパリ(1917年から2023年のパリ)

藤田嗣治, Léonard Foujita: Café interior (1958)

2015年のテロ、2019年のノートル・ド・パリ大聖堂の火災、そして2020年の新型コロナウィルス感染症によるパンデミック、それによって引き起こされた大きな集団的感情を反映したパネルが展示されています。

カルナヴァレ美術館のカフェ・レストラン

カルナヴァレ美術館には、中庭にカフェ・レストラン『Fabulaファブラ』があります。テラス席のみのお店なので、春から秋までオープンします。(2024年4月8日から10月)

カフェは、飲み物からパスタやサンドイッチなどがあり、10時から18時、火曜日から日曜日まで営業しています。

レストランは、シェフ、トーマス・チザムが絵画のようなフランス料理を提供してくれます。19時半から夜中の2時、火曜日から土曜日まで営業しています。

トワイライトな時間に美術館を眺めながらのディナーは、時空を超えた夜にしてくれることでしょう。

予約はこちらから

パリのカルナヴァレ美術館は訪れる価値があるにはなぜ?

Place de l’Hôtel-de-Ville

・パリの豊かな歴史を網羅できる

パリ古代から現代と、特に今のフランスに重要な、フランス革命やパリ・コミューンなど重要な歴史的資料が豊富です。これによりパリの歴史や文化の変容を深く理解することができます。

・美しい建築とインテリア

美術館自体が歴史的な建物であり、16世紀にカルナヴァレ邸として貴族が住んでいたこと。また豪華なインテリアやその時代の生活様式を体感できます。

・入場無料で多様な展示品を鑑賞できる

カルナヴァレ美術館は、常設展示が無料で公開されています。フランス革命から有名人の遺品、装飾美術など多岐にわたる展示内容で魅了してくれます。

カルナヴァレ美術館の空いている時間帯、所要時間は?

・カルナヴァレ美術館の空いてる時間帯は?

私がカルナヴァレ美術館を訪れた時間は木曜日の12時頃でしたが、同じタイミングで入る人は3人。

初めの展示場所には、全体像を撮る人や、一点一点ゆっくり文字を観察している人などいて、10人ほどいました。部屋の大きさにもありますが、時々私しかいない展示室があったので、平日の10時から13時が空いていると思います。

・所要時間は?

地下から3階までひと通り見ると、2-3時間ほどかかります。

パリのカルナヴァレ美術館を訪れるためのヒント

・スーツケースなどの大きい荷物は持ち込めません。

・無料のセルフロッカーがあります。(40×36×36cm)

・写真撮影は許可されていますが、フラッシュや三脚その他の物理的な機器は禁止されています

・時代順(順番通り)に回るのをおすすめします。

・団体の方はこちらからオンライン予約が必要になります/(訪問予定日の少なくとも 6 週間前までにご予約)

・開催中の展示会についてはこちらから→カルナヴァレ美術館 

さいごに

カルナヴァレ美術館は、パリの歴史を深く学び、美しい建築やインテリアを楽しむことができます。多様な展示内容と無料での入場も魅力的です。パリを訪れる際には、パリの豊かな歴史を体感できるカルナヴァレ美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。

パリ旅行必見!3大美術館のひとつ、オルセー美術館の魅力と見どころ

パリには美術館がたくさんありますが、その中でも印象派作品の宝庫ともいわれるオルセー美術館。セーヌ川沿いにあるその重厚な建物は、元はオルセー駅という鉄道の駅舎兼ホテルでした。

美術館のなかに入ると、ところどころで駅の雰囲気を感じられることでしょう。豊富なコレクションと歴史を感じさせる建物を歩き、時代を融合したこのオルセー美術館は、パリを訪れる際に外せないスポットと言えるでしょう。

オルセー美術館のクイック情報

入場料16€
チケット予約購入・予約→こちらから
開館時間9:30-18:00
(木曜日は21:45)
閉館日:月曜、祝日
無料開放日第一日曜(要予約)
所要時間3時間から半日
音声ガイド(日本語)あり(6€)
美術館の建設立 1900年(オルセー駅の鉄道駅舎兼ホテル)
建築家ヴィクトール・ラルー(オルセー美術館としては、1986年から開館)
作品数4000点以上
作品の種類印象派、ポスト印象派、パリ前衛芸術
芸術形式絵画、彫刻、家具、工芸品
有名作品ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、ポール・セザンヌ、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール
住所Esplanade Valéry Giscard d’Estaing 75007 Paris, France (Map
最寄り駅Solferino駅(地下鉄12)、Musée d’Orsay駅(RER C号線)

1, オルセー美術館に訪れる価値があるのはなぜ?

100年以上たくさんの人がこの時計を見ていただろう

・印象派とポスト印象派のコレクションが大多数を占めていて、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、エドガー・ドガ、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、ポール・セザンヌなど有名な画家の作品を一堂に見ることができる。

・オルセー美術館の建物が、1900年パリ万博博覧会のためにヴィクトール・ラルーの設計のもと、建てられたオルセー駅舎兼ホテル。その後1986年にオルセー美術館として開館されました。その壮大で歴史的な建物も見所の一つ。

・絵画だけでなく、彫刻、写真、家具、装飾芸術など19世紀後半から20世紀初頭の多様なコレクションが展示されている。

・オルセー美術館では、定期的に行われる特別展やイベントが開催されていて、新しい視点で芸術を楽しむことができる。

・オルセー美術館からの上の階に行くと、窓からエッフェル塔やパリ市内の素晴らしい景色が一望できる。

2, オルセー美術館の見どころ

クロード・モネ『Preparatory sketches for plein air figure』(1886)

展示作品は、ガイドマップどおりに置かれていないこともありますが、絵画から彫刻、家具と工芸品など多岐に渡り4000点以上もの芸術が展示されています。

エントランスを抜けると、真っ直ぐと伸びるプロムナーデ、天井のアーチと時計が駅の面影を残しています。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ『Self -portrait』(1889)

オランダのポスト印象派の画家。彼の作品は、力強い筆致と艶やかな色彩で特徴づけられます。彼は生涯を通じて精神的な問題に悩まされていました、その不安や恐怖を、独特なうねりのタッチで表していると言われています。この絵画は彼が耳を切り落とした後の病院での療養中に描かれました。

・エドゥアール・マネ『Berthe Morisot au bouquet de violettes』(1879)

フランスの画家で、印象派の先駆者、印象主義とリアリズムの橋渡しをし、モダンアートへの道を開いたといわれています。この絵画は女流画家のベルト・モリゾが描かれています。彼女の柔らかい表情の中に力強い個性も感じられます。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『Jeune femme à la voilette』(1875

フランスの印象派の画家。明るい色彩と柔らかなタッチが特徴です。彼の作品では『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』や『船遊びをする人々の昼食』といった日常の喜びが描かれた作品で有名です。またこの絵は、横向きでベールを被った女性が描かれていますが、彼女の持つ繊細さや女性の美しさを描かれています。

・ポール・セザンヌ『Les Joueurs de cartes』(1890-1895)

フランスのポスト印象派、近代画家の父と称されています。この『カード遊びをする人びと』は、違った構成で5枚描かれていて、プロヴァンスの農民がカード遊びに夢中になっている様子が描いています。彼の作品は、色彩と構造の調和を探究する点で評価されています。

個人的に好きな場所

(左)Ernest Barrias『Les Chasseurs d’alligators』1894、(真ん中)『Hector Guimard Gueridon Pedestal table』 1899 、(右)Èmile friant 『Ombres portées』1891

オルセー美術館の2階は、1880年から1900年の彫刻が並んでいます。そしてアールヌーボ様式の家具や、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、ピエール・ボナールの絵など飾られています。ここは長い石のベンチもあるので休憩するのにもいいのと、他の場所よりも比較的空いているので穴場です。

3, オルセー美術館の予約方法

左側Aはチケットあり、右側Cは当日チケット予約なしの入り口

オルセー美術館のサイト(こちら)からチケットを購入し、時間を予約します。そして当日は予約時間の30分前から入場できます。

私は水曜日の12時から訪れましたが、当日チケットなしの入り口には、外に30人ほど並んでいました。聞いたところ、当日の入場は平日でも並ぶそうなので、事前にチケットと時間を予約するのをお勧めします。

4, オルセー美術館の空いている時間

駅のプラットフォームの面影が残るオルセー美術館

オルセー美術館に訪れるおすすめ時間

私が訪れたのは水曜日12時でした。事前にチケットを購入して時間も予約していたので、待つことなく入れたのですが、中は人でいっぱいでした。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、ポール・セザンヌ、クロード・モネなどの巨匠たちの絵が並んでいるエリアが特に人が多かったのですが、一瞬人が少なくなった時があり、時間を見たら13時半でした。

13時頃から15時頃まで、比較的空いているように思いました。

オルセー美術館の所要時間

オルセー美術館の全作品に目を通すとなると、最低でも3時間は必要です。私は見たいものをじっくり見て、もう一度見たい作品はまた戻って、その他の作品は足早に見ていきましたが、それでも3時間半ほどかかりました。

オルセー美術館の中にはカフェやレストランがあるので、ランチを取りながら午後までゆっくり過ごしてみるのもいいかもしれません。

5, オルセー美術館のレストラン、カフェ

カフェ・カンパナ Café Campana(5階)。時計の向こうには、サクレクール寺院が見えます

印象派たちの絵を見ていくと、だんだんといい匂いがしてきます。時計がシンボルのカフェ・カンパナ『Café Campana』です。カジュアルなレストランですが味は保証つきです。

1900年代の装飾と天井のフレスコ画を見ながら食事ができるレストラン・ドゥ・ミュゼ・ドルセー『Restaurant du Musée d’Orsay: Le Restaurant』。ランチとティータイム、木曜日はオルセー美術館のナイト・ミュージアムに沿ってディナーもできます。

入り口から入ってすぐにあるセルフサービスのカフェ・デ・ラ・ガレ『Café de la Gare』、スナックや軽食をとりながら一休みできます。

6, オルセー美術館を訪れるためのヒント

Henri Fantin-Latour 『Coin de table』1872

・写真撮影は許可されていますが、フラッシュや三脚その他の物理的な機器は禁止されています。

・スニーカーとショルダーバックで、軽装で訪れることをお勧めします。

・ロッカーサイズ(35×35×25cm)を超える物は、クロークへ預けます。(2024年6月では事前に予約が必要だったので一度こちらからお問い合わせください)

オルセー美術館公式サイト→こちらから

・館内マップのダウンロードやこちらから

7, さいごに

ギュスターヴ・カイユボット Gustave caillebotte『Reboteurs de parquet』(1875)

私は特にどんな作品があるのか、下調べをせずに訪れました。感覚のまま、見たいものを見て、偉大な芸術家たちの作品を見て感情が色んな方向に動きました。

しかしその時代や作品の背景、アーティストの人生も知っていると、さらに楽しさが増すとも感じました。

かつて多くの人たちがこのルセー美術館の時計を見ながら、この場を交差していた時を想像しながら、ゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

パリに来た時にはぜひ訪れてみてください。

ダリファン必見の穴場スポット、ダリ・パリ美術館(Dali Paris Musée)

ルーブル美術館、オルセー美術館など、パリにはたくさんの美術館があり、1年中多くの方が訪れます。そのなかでも今回は穴場の美術館をご紹介します。

パリ18区にあるダリ・パリ美術館(Espace Dali)は、スペインのシュルレアリストレス(超現実主義画家)サルバドール・ダリの作品を展示している美術館です。

モンマルトルの丘に美しく佇むサクレクール寺院のふもとに位置し、今も画家たちが集うテアトル広場のすぐ近くに、ダリ・パリ美術館はあります。

⚫︎ダリ・パリ美術館のクイック情報

入場料16€作品の数約300点(展示数は異なる)
予約、予約方法チケット予約サイトから作品の種類絵画、彫刻、オブジェなど
開館時間10:00-18:00
(12月25日閉館)
芸術形式シュルレアリスム
空いてる時間帯午前中から13時ころ有名作品『記憶の固執』、『宇宙像』彫刻
所要時間1時間
公式サイト  https://www.daliparis.com/オーディオガイド(日本語)あり
住所11 rue Poulbot 75018 Paris
地図
ロッカー、トイレ  あり
エリアモンマルトル、パリ18区最寄り駅Anvers, Abbesses, Lamarck-caulaincourt
(地下鉄12番線)  

1, ダリ・パリ美術館

『Lincoln in dalivision』
目を細めたり遠くにいくとリンカーンが現れる、
近づくと真ん中のガラのヌードが出てくる
『Women with a head of roses』
René Crevel’sの詩を讃えて作られた
薔薇の頭を持つ女性の彫刻

このダリ・パリ美術館は、ダリ専門家として有名なキュレーターの1人である創設者のベニアミノ・レヴィが、プライベートで集めてきたダリのオリジナル作品を展示しています。

絵画、彫刻、エッチング、シュルレアリスムのオブジェクト、家具、幻視科学、古代、ルネサンス、錬金術など、個性的なダリの作品に触れることができます。

この美術館に入って一番に目を引くのは、今にも動き出しそうな彫刻でしょう。脈動感があり、ダリの魂が息吹いています。

ダリ・パリ美術館の見どころ

『Space elephant』
宇宙象の彫刻

美しい脚線のスペース・エレファント『宇宙象』、よく見ると足は骨になっています。これはダリのシュルレアリスムの象徴的な作品です。

こんな細い足で、地上で一番大きい動物の体を支えることはできません。この作品は、現実世界の重さと幻想の軽さの対比や矛盾を表していると言われています。

そしてダリといえば、ぐにゃっと曲がった時計『記憶の固執』があります。ダリの最も有名な作品です。

この溶けているような時計は、時計という正確に時を刻むものが、人間の感覚において一定のものではなく、心理的なことによって流動的で変わっていくということを表しています。アインシュタインの相対性理論を芸術で表したのではないでしょうか。

ダリの作品に触れていると、凝り固まった考えや固定観念が解けていきます。

『The persistence of memory』
記憶の固執の彫刻

ダリ・パリ美術館がおすすめな理由

Memories of surrealism

サルバドール・ダリの彫刻やリトグラフ、日本の手法を取り入れた版画や、その作成方法など、多様な作品とその作品の背景の解説とともに、ダリの独特で夢幻的な世界に浸れます。

部屋の真ん中には、ダリのミューズでもありパートナーでもあった、ガラ・エリュアールとの愛の物語や、古いテレビから流れる、生前の2人の様子も見ることができます。

2, ダリ・パリ美術館の訪れるためのヒント

ダリ・パリ美術館

ダリ・パリ美術館の空いてる時間帯

私が訪れたのは平日の11時半頃、入り口には並んでいる人はおらず、チケットはその場で購入して、そのまま待つことなく美術館内に入っていけました。

その時は中には3人ほどいました。そこから13時頃まで増えることもなく、というのも美術館自体、中地下に美術館の紹介があって、下フロアがダリの作品が並んでいるのですが、じっくり見ても、1時間もかからないと思います。

学生が写生をしに来たり、ランチ後に訪れている家族がいても、人と被ることなくゆっくり見れました。

ダリ・パリ美術館の所要時間

1時間ほどあれば、ひと通り見られると思います。私が訪れた日は、空いていたので何回か往復して、じっくり鑑賞していました。

ダリ・パリ美術館を訪れるためのヒント

・入り口の右側にロッカーがあります。ベビーカーの持ち込みは展示品により持ち込めないと聞きましたが、クロークに預けられるか、事前に問い合わせた方がいいと思います。私が訪れた時は生後半年ほどの赤ちゃんがいましたが、抱っこされて一緒に鑑賞していました。

・写真撮影は許可されていますが、フラッシュや三脚その他の物理的な機器は禁止されています。

・特別展示会は、公式サイトからご覧ください。(こちらから)

・ミュージアム・ショップには、ダリの作品に関連した書籍やグッズが購入できます。

3, さいごに


『Snail and the Angel』
精神的な父としていたジークムント・フロイトの家の外、
自転車に乗っていたカタツムリからインスピレーションを受けた。
その形が人間の頭とフロイトの頭に結びつき、
そしてカタツムリの持つ、殻の硬さと体の柔らかさのパラドックスを表している。

私はこの美術館を訪れたとき、”自分は何をしたいのか、どう生きていきたいのか”、鬱々と灯りのない沼でもがいていました。そんな暗闇のなか、『Snail and the Angel』の彫刻を見たときに、こんな人よりもでっかいカタツムリをダリは作るんだ!と、心が動き、笑いがこみ上げてきて、いつの間にか沼が消えていました。

友人にダリの美術館が良かったと話すと、『彼はとてもユーモアのある人だったと聞いたことがある、そのメッセージがあなたの心に響いたのかもしれないね。』

ここはシンプルでこじんまりとした美術館ですが、その作品が作られた背景や物語を知りながら作品を間近で見ることができます。そしていつの間にかダリの奇抜でウィットな人柄を身近に感じ、ダリの魂に触れることができるのだと思いました。

もしパリを訪れる機会があるなら、ぜひこのユニークなダリ・パリ美術館を訪れてみてください。サルバドーレ・ダリという天才が創った幻想的な世界にしたってみてはいかがでしょうか。