パリの喧騒から一歩離れた17区、モンソー公園の近くに佇むジャン・ジャック・ヘンナー美術館(Musée Jean-Jacques Henner)。この美術館は、19世紀フランスの象徴主義画家ジャン・ジャック・ヘンナー(Jean-Jacques Henner)の作品を中心に、彼の芸術世界を深く知ることができる貴重な場所です。

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館を訪れて、まず心に残ったのは絵画の表現でした。描かれているモデルの顔や体の輪郭はぼんやりとしているのに、不思議と立体感があり、その人物が確かにそこに存在するように感じられるのです。全体に柔らかく優しい印象が漂い、鑑賞後もしばらく余韻が続きました。

美術館として使われている邸宅自体も魅力的で、階段の軋む音や細い螺旋階段、吹き抜けの空間からは、当時の暮らしが想像されます。最上階のアトリエは天井が高く大きな天窓があり、とても開放的。1階の展示室もガラスの天井から自然光が降り注ぎ、明るく気持ちのよい空間でした。

17区には多くの芸術家が住んでいたようで、パリ市立美術館で出会ったエドゥアール・ヴュイヤール(Eduardo vulland)の邸宅が、美術館の向かいにあったことにも驚きました。まさに、芸術の息づかいを今も感じられる場所です。

それでは、ジャン=ジャック・ヘンナー美術館の見どころと所蔵作品をご紹介します。

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ジャン・ジャック・ヘンナー(Jean-Jacques Henner)年表
1829年3月15日 フランス、アルザス地方のベルンヴァイラー(Bernwiller)に生まれる
1846年頃 ストラスブール美術学校で学ぶ、教師はガブリエル・グエ(Gabriel Guérin)
1850年 パリに移り、国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)でレオン・コニエ(Léon Cogniet)に師事
1858年 『Saint Sébastien』(聖セバスチャン)でローマ賞(Prix de Rome)を受賞し、ローマのフランス・アカデミー(ヴィラ・メディチ)に留学
1859–1864年 イタリア滞在中に古典やルネサンス美術に影響を受ける、風景や宗教画も描くようになる
1867年 パリ万国博覧会に出品、注目を集め始める
1874年 『La Madeleine pénitente』(悔悛するマグダラのマリア)がサロンで高く評価される
1889年 パリ万国博覧会で金メダルを受賞、芸術アカデミーの会員に選出される
1903年 国立美術学校の教授に任命され、多くの後進を指導
1905年7月23日 パリで死去(享年76)、自宅兼アトリエは「ジャン=ジャック・エンネル美術館」となる


ジャン・ジャック・ヘンナー美術館

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館(Musée Jean-Jacques Henner)1階から吹き抜け、回路の眺めより

この建物はもともと、装飾画家ギヨーム・デュビュフ(Guillaume Dubufe, 1853–1909)の邸宅でした。彼はリヨン駅ビュッフェの天井装飾やコメディ・フランセーズのホワイエの装飾などを手がけた人物です。

19世紀末に非常に人気のあったこの芸術家は、1878年にこの邸宅を購入し、当時の折衷主義的な美意識に従って、様々な様式を組み合わせながら自分の趣味で装飾を施しました。現在も1階のサロンとルネサンス様式の格天井がその名残をとどめています。

その後、ジャン・ジャック・ヘンナーの姪であるマリー・ヘンナー(Marie Henner)がこの邸宅を購入し、エンネルの作品を保存・展示する目的で、1921年に国に寄贈し、現在のジャン=ジャック・エンネル美術館が設立されました。


ジャン・ジャック・ヘンナー(Jean-Jacques Henner)画風と代表作品

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館(Musée Jean-Jacques Henner)アトリエより

ジャン・ジャック・ヘンナーの画風は、柔らかく霞んだ輪郭と夢幻的な光による神秘的で静謐な人物表現を特徴とし、赤毛の女性像や宗教性、神話性を帯びた裸体画を多く描きつつ、新古典主義から象徴主義への橋渡しとなり、イタリア滞在で培ったラファエロやティツィアーノ風の構図や色彩を取り入れた点にあります。


ジャン=ジャック・ヘンナー美術館所蔵作品

  • 『Femme rousse』(赤毛の女, 1870年代)
    ふわりと浮かび上がるように描かれた女性像。背景と溶け合う柔らかい輪郭が幻想的で、ヘンナーの人物画の魅力をよく表しています。

  • L’Alsacienneアルザスの少女1870年代)
    故郷アルザスの民族衣装をまとった少女を描いた作品。郷土への愛情が込められており、シンプルながら温かみを感じる一枚です。

  • La Vérité』(真実1898–1902年、未完成)
    重なり合う二人の女性の姿を通して真実を象徴的に表現しようとした、晩年の大作。未完ながらも、彼の探求心を感じさせる作品です。


代表作品

  • Adam et Ève trouvant le corps d’Abel』(アベルの遺体を見つけるアダムとイヴ1858年ローマ賞受賞作
    悲嘆に暮れるアダムとイヴを描いた作品で、若き日のヘンナーが評価を受けた記念碑的な一枚。イタリア修行で培った古典的な構図の美しさが光ります。
    所蔵: エコール・デ・ボザール美術館(Musée de l’École des Beaux-Arts, Paris)

  • La Madeleine repentante』(悔悛するマグダラのマリア1876年
    静かにうつむく姿から、深い祈りと人間的な弱さが伝わってくる作品。柔らかな光と陰影がヘンナー独特の優しい表現を際立たせています。
    所蔵: オルセー美術館(Musée d’Orsay, Paris)

  • Saint Sébastien』(聖セバスチャン、1888年
    矢で傷ついた聖人を、女性たちが看護する場面を描いた作品。宗教画でありながら人間的な優しさがにじみ出ています。
    所蔵: オルセー美術館(Musée d’Orsay, Paris)


ジャン・ジャック・ヘンナー美術館ガイド

アクセスと周辺情報

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館は、パリ17区のモンソー公園近くに位置しています。メトロ「Monceau」駅から徒歩約5分とアクセスしやすく、メトロ「Villiers」駅からも徒歩圏内です。閑静な住宅街に位置しており、落ち着いた雰囲気の中で訪れることができます。

周辺の見どころ

✓ モンソー公園(Parc Monceau)- 優雅な英国風庭園で散策
✓ エドゥアール・ヴュイヤールの邸宅 - 美術館の向かいに位置(外観のみ見学可能)
✓ パリ市立美術館(Musée d'Art Moderne de Paris - 近くにある現代美術の名館


入館情報

おすすめの時間帯は、平日の午前中(10時〜13時頃)が比較的空いており、邸宅の雰囲気をゆっくり味わいながら静かに鑑賞できます。

所要時間の目安は、小規模ながら充実したコレクションを巡るのに約1時間を見込むと、余裕をもって楽しめます。

第1日曜日は無料で入館できます。通常料金も8ユーロとリーズナブルで、19世紀の象徴主義絵画を堪能できます。


美術館チケットは事前予約がおすすめ

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館は小規模な美術館ですが、事前に公式サイトで開館時間や特別展示情報を確認しておくと安心です。通常は当日でも入館できますが、特別展開催時は混雑する可能性があります。


チケット予約

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館公式サイトから最新情報を確認できます。


パリ・ミュージアムパスも対象

パリ・ミュージアムパスはジャン・ジャック・ヘンナー美術館も対象施設です。ルーヴル美術館やオルセー美術館、ヴェルサイユ宮殿など、パリおよび近郊の50以上の主要施設に入場できるお得なパスで、複数の美術館や観光名所を巡る予定がある方には、特におすすめです。


パリ滞在中はWi-Fi環境が必須

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さいごに

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館は、象徴主義と古典美が融合した独自の世界観を体感できる貴重な場所です。幻想的な作品を通じて19世紀フランス絵画の思想に触れられるだけでなく、邸宅を改装した展示空間そのものが芸術の一部として楽しめます。

また、現代アーティストとのレジデンス活動も積極的に行われており、過去と現在の創造が交差する場として常に新しい発見をもたらします。歴史ある作品の深みと現代アートの息吹を同時に味わえるこの美術館は、パリ観光の中でも特別な体験を求める方にぜひ訪れていただきたい隠れた名館です。

ジャン・ジャック・ヘンナー美術館(Musée Jean-Jacques Henner)

入館料: 8ユーロ(第1日曜日は入館無料)
開館時間: 11:00〜18:00(月曜休館)
公式サイト: ジャン・ジャック・ヘンナー美術館公式サイト

作品の数: 約1,440点の所蔵作品(560点の絵画、880点の素描(ドローイング)
作品の種類: 絵画、デッサン、写真、家具、使用道具、手紙、書簡
所要時間: 約1時間
空いてる時間帯: 10時〜13時頃

住所: 43 Avenue de Villiers, 75017 Paris
アクセス: メトロ2号線「Monceau」駅または3号線「Villiers」駅から徒歩圏内


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