ハンブルグ・バーンホフ|モードなベルリンを体験する場所
ハンブルガー・バーンホフ(Hamburger Bahnhof)とは、ドイツ語でハンブルグ駅という意味。その名の通り、元々は駅舎だった広大な場所が、現代アート・コンテンポラリー美術館へと生まれ変わりました。
ベルリンっぽくモードな美術館に行きたいという人がいたら、私は迷わずここを紹介します。パリのオルセー美術館も元駅舎を改装していますが、ハンブルガー・バーンホフは美術館というよりも、多種多様なモダンなアートを体感する場所といえるでしょう。空間の広さと、それに劣らない作品の質、そして多種多様な芸術表現に、訪れた人は必ず満足するはずです。
特別展示「embrace」との出会い
この日、開催中だったのは、クララ・ホネドロヴァ(Klára Honedlová)による作品「embrace」。シャネル(CHANEL)による文化支援プログラムの一環として制作されました。
元プラットフォームの空間を存分に活かした、縦にも横にも奥行きもある巨大なインスタレーション。ガラス、コンクリート、亜麻、麻、糸、砂、金属、そして音から構成されたこの作品は、圧巻の一言に尽きます。その中を歩いていると、だんだんとその物語の中に迷い込んでいきます。
ところどころに置かれたアナログのスピーカーから低音のベースが響き、目を閉じると、漆黒の森の中にいるようです。目を開けると、見る角度によって解釈が変わります。木が年月をかけて絡み合ったのか、狼の尻尾なのか、はたまた絨毯の中に入ってしまったのか。オブジェクトの周りを歩くたびに、新しい表情を見せる。外から眺めると、真っ白の空間に突如と現れた森と川のようにも見えるのです。
「Embrace」クララ・ホスネドロヴァ(Klára Hosnedlová)
開催日: 2025年5月1日〜2026年1月4日
会場: ハンブルガー・バーンホフ(Hamburger Bahnhof)
実際の展示の雰囲気は、ぜひインスタでチェックしてみてください。→ [Instagram@aqc_hummingbird]
常設展|多彩な表現の饗宴
常設展からは、ポップなアートから社会政治的な大規模インスタレーション作品まで、幅広い作品が展示されています。ゆっくりと鑑賞すると、3時間はかかるでしょう。
ジェレミー・ショウ(Jeremy Shaw)Phase Shifting Index(2020年)
ベルリンを拠点とするアーティスト、ジェレミー・ショウによる没入型の7チャンネル・ビデオ・インスタレーションが、ハンブルガー・バーンホフ美術館の「Museum in Motion」で展示されています。
薄暗い空間の中に点在するスクリーンには、さまざまな音楽シーンの映像が映しだされています。その前に椅子が置かれ、音が流れています。スクリーンには、セラピー的なダンス、コンテンポラリーダンス、クラブで踊っている人などが映っています。
後ろに置かれた長いベンチに座ると、すべてのスクリーンを見ることができます。映像を眺めていると、音楽がだんだんクライマックスになり、それに連動してスクリーンに映る人々のエネルギーも高まっていきます。そして最後には、すべてのスクリーンが真っ白になり、ただ一音だけが静かに残ります。
ただ映像を見ているだけなのに、意識がだんだん上昇していくような感覚になりました。地球にはさまざまな文化があり、人はそれぞれ好きなものに没頭し、エネルギーを高めていく。一見異なることをしているようで、すべて同じ空間で生きて、同じ瞬間を共有している。この展示場のように、いろんな場所から来た人間が、いま同じ空間で、同じものを見ているように。
また、同時に、この映像を通して見えるのは、ニルヴァーナ(涅槃)へ到達するということ。それは一瞬の悟りかもしれない。でもそこにたどり着くために、煩悩に悩まされながらも、無心な状態へ、光悦な状態へと目指す。その繰り返しかもしれない。
ハンブルガー・バーンホフ美術館 – 国立現代美術館

ハンブルガー・バーンホフ美術館 – 国立現代美術館は、19世紀の旧鉄道駅舎を利用したベルリンの現代美術館です。建築家フリードリヒ・ノイハウス(Friedrich Neuhaus)による設計で、ドイツ最古級の駅舎の一つとされています。第二次世界大戦で被災後、長らく廃墟でしたが、1984年にベルリン州政府が取得し、建築家ヨーゼフ・パウル・クライヒューズ(Josef Paul Kleihues)の手によって改修されました。
1996年に現代美術館として再生され、隣接する建物(リークハレン)の改築により、大型インスタレーションやメディア・アート、環境アートなど多彩な作品を収蔵・展示できるようになりました。所蔵作品数は約1,500点にのぼり、館内の広い展示室だけでなく、屋外や階段、さまざまな空間に作品が配置され、訪れる人は建物全体で現代アートを体感できます。
訪れるヒント
- 訪問は、午前中または午後遅めを狙うと比較的ゆったり鑑賞できる。木曜の夜延長時間(午後8時まで)はゆとりがありおすすめ。
- ショップのポストカードや本、雑貨など、見ているだけでも楽しい。
- 約13,000平方メートルの展示スペース。
- 展示空間は広く歩き回るので、途中でひと息つくと頭が整理でき、次の展示への感覚も研ぎ澄まされる。
- 季節や天候によって屋外彫刻やファサードの光の入り方が変わる。日の光が入る時間帯だと、光と影の演出が作品の印象を大きく変えることも。
- 6月から8月末まで、「Berlin Beats」と呼ばれるエレクトロ音楽パーティが開催されます。ベルリンならではの雰囲気を楽しめるイベントで、ガーデンでの開催・入場無料。
さいごに
ハンブルガー・バーンホフ美術館は、19世紀の駅舎という産業遺産と21世紀の前衛芸術が出会う、ベルリンならではのユニークな美術館空間です。ヨーゼフ・ボイスやアンディ・ウォーホルといった巨匠たちの重要作品を、歴史的建造物の圧倒的なスケール感の中で体験できる贅沢な空間となっています。
ベルリンを訪れる際には、現代美術ファンはもちろん、建築や歴史に興味がある方にも、必見のスポットといえるでしょう。
ハンブルガー・バーンホフ美術館(Hamburger Bahnhof)– Nationalgalerie der Gegenwart
開館時間:10:00〜18:00(木曜10:00〜20:00/土・日曜11:00〜18:00/月曜休館)
入場料: €16(常設・特別展)
公式サイト:ハンブルガー・バーンホフ(Hamburger Bahnhof)
ハンブルガー・バーンホフ博物館は人気のため、事前予約がおすすめです。▶︎ チケットはこちらから(GetYouGuide)
混雑状況:やや混んでいる
その他:車椅子対応(一部施設)、ロッカー、オーディオガイド利用可能。
住所 Invalidenstraße 50-51, 10557 Berlin, Germany
アクセス:U-Bahn(地下鉄)/S-Bahn(市電・郊外電車)ベルリン中央駅(Hauptbahnhof)徒歩約5分
