パリ・シテ島にひっそりと佇む石造りの威容を誇る建物、コンシェルジュリー(Conciergerie)。元は王たちの住まいであり、そして革命の舞台裏であり、マリー・アントワネットが処刑前に幽閉されていた場所として知られています。
豪華絢爛な宮殿でもなく、煌びやかな美術館でもない、パリ観光の定番ルートからは少し外れた存在かもしれません。しかし、ここを訪れた人は「こんなに重厚で、静かな場所だとは思わなかった」といいます。
歴史的背景と美しいゴシック建築が融合したこの建物は、観光客にとっても、フランス革命に興味を持つ人にとっても見逃せないスポットです。この記事では、コンシェルジュリーの魅力と見どころをご紹介します。
パリ・コンシェルジュリー(Conciergerie)
開館時間:9:30〜18:00(毎日)
入場料:13ユーロ
コンシェルジュリーチケット事前予約
所要時間:1時間〜2時間
混み具合:比較的空いている
公式サイト:パリ・コンシェルジュリー
オーディオガイド:あり(無料レンタル)
入場無料:第一日曜日(11月〜3月)は入場無料(オンライン予約不可)
住所:2 Boulevard du Palais, 75001 Paris, France(map)
アクセス:メトロ4号線「Cité」駅 徒歩約3分
1, コンシェルジュリーとは
コンシェルジュリー(Conciergerie)は、パリのシテ島に位置する「シテ宮(Palais de la Cité)」の一部であり、後に革命時代の監獄として使用されました。14世紀にはカペー朝やヴァロワ朝の王が住まいとし、数世紀にわたりフランス王家の中心であり続けた場所。
広大な宮殿の中で、現在「コンシェルジュリー」と呼ばれる部分は、王の司法機関・政庁、そして軍事的な機能も持つ“実務的な空間”でした。しかし、ルーブル宮やヴェルサイユ宮へと王の住まいが移ると、この場所は少しずつ裁判所や牢獄としての役割を強めていきます。
1789年、フランス革命の勃発。パリ中が混乱に包まれる中、コンシェルジュリーは革命裁判所の中心的な役割を果たす場所となります。王政を否定し、新たな共和国を築こうとする民衆。そして、その怒りの矛先となった王政の象徴、マリー・アントワネット。1793年、彼女はこのコンシェルジュリーの狭く冷たい独房に94日間幽閉され、最期の日を迎えました。
2, コンシェルジュリー見どころ

入場してすぐに現れるのが、13世紀に建設された巨大な石造ホール「衛兵の広間」。四方に伸びるアーチと天井の高さは、まさに“王の威厳”を感じさせます。その隣には中世時代に作られた厨房があり、王室の使用人のための食事が作られていました。
建築の魅力
館内で最も注目すべきは、14世紀に建てられた「兵士の広間(Salle des Gens d’Armes)」。石造りの巨大な空間は、王の権威と当時の建築技術の高さを示しています。天井のリブ・ヴォールト(交差ヴォールト)と自然光が織りなす神秘的な空間は、ゴシック建築の傑作です。
監獄の雰囲気
地下牢や狭い通路を進んでいく構造は、現代とは全く異なる時間感覚を味わえます。展示されている囚人の名簿や遺品、鉄格子越しの視点は、当時の囚人たちの心理に触れるような感覚を与えてくれます。
マリー・アントワネット独房の再現
彼女が過ごした独房が復元されており、記念室には手紙の複製や肖像画などが展示されています。静かな照明と荘厳な雰囲気が、革命期の恐怖と哀しみ、そして歴史の深さを実感させます。
3, コンシェルジュリーを訪れるヒント

私が訪れたのは、午前11時ころでした。チケット予約の列には5人ほど並んでいましたが、すぐに中に入ることができました。館内は広く、混み合うこともなく、ゆっくり回ることができました。
所要時間は、1時間から2時間ほど。館内は広く、途中で中階段などもあるので、中庭からマリーアントワネットの部屋を眺めたり、その時代背景を想像しながら歩いていると、2時間くらいになります。
事前にオンラインでチケットを購入をしておくとスムーズに入場でき、時間を有効に使えます。
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また入口で配布されるガイド端末(ヒストパッド”L’Histopad”)を使えば、AR技術で当時の様子をビジュアルで再現しています。その場所にあるGQコードをその端末で転写すると、中世ヨーロッパの建築様式を肌で感じながら、当時の風景が想像できます。
4, さいごに
コンシェルジュリーは、単なる観光地ではなく、フランス革命の空気を五感で感じられる体験型スポットです。マリー・アントワネットの独房、荘厳なゴシック建築、歴史を物語る展示など、訪れるたびに新しい発見があります。
館内を出た後は、セーヌ川沿いを散策したり、徒歩圏にあるノートルダム大聖堂や隣にあるサント・シャペルとあわせて観光すれば、シテ島の歴史的魅力を余すところなく堪能できます。事前にチケットを予約しておけば、混雑を避けてスムーズな観光が可能です。パリで深い歴史に触れたい方には、コンシェルジュリーは外せないスポットです。