入場無料でも見どころたっぷりカルナヴァレ美術館(パリ市歴史博物館)Musée Carnavalet

芸術エッセイ

ピカソ美術館やギャラリーが多く、旧市街地のような趣きが残るマレ地区に、カルナヴァレ美術館はあります。(別名:パリ歴史博物館)16世紀から20世紀の歴史的邸宅が、歴史的資料や文章コレクションが集められた、パリで一番古い美術館です。

パリの改造計画で失われる資料や調度品などを集めた博物館を作るため、1866年にパリ市が購入し、1871年に一般公開されました。隣接していたパリ市立歴史図書館をル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館と改名し、1989年に美術館の一部となりました。

パリの原点から現在に至るまでのパリの歴史を、年代順に回ってタイムスリップしてみましょう。

カルナヴァレ美術館のクイック情報

入場料無料
開館時間10:00-18:00(最終受付:17:15)
閉館日月曜、祝日
空いてる時間帯10時-13時頃
所要時間2-3時間
ガイドツアーあり(5-7€、フランス語または英語)
作品数約62,5万点、展示数:3,800点
作品の種類印象派、ポスト印象派、パリ前衛芸術
芸術形式絵画、彫刻、家具、工芸品、装飾美術品、歴史的オブジェ、考古学コレクション、看板、写真、デッサン、版画、ポスター、メダル、コインなど
建設立1548年(カルナヴァレ館)、1688年(ル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館)
Webサイトカルナヴァレ美術館
住所23 rue de Sèvignè 75003 Paris(パリ3区、マレ地区)
最寄り駅Saint-Paul(Metro 1)


カルナヴァレ美術館の見どころ

リュイネス・ホテルの階段 (1660), 建築家ピエール・ル・ミュエ

カルナヴァレ美術館は、1548年に建てられたルネサンス様式、1660年にバロック建築の第一人者でもある建築家フランソワ・マンサールが改修しました。1960年代に建築家ピエールバレットがル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館を建築、今ではパリの歴史を深く知ることができる魅力的なスポットになりました。

中世時代のパリの街並み:ジョルジュ・カイン・ギャラリー

カルナヴァレ美術館に入ると、まずはじめに少し錆びて味のある看板や標識が出迎えてくれます。16 世紀から 20 世紀のにかけて、当時の人たちはこの看板を見ながら石畳を歩いていたと想像したら、ノスタルジックな気持ちになります。

地下:先史時代:考古学コレクションの部屋

新石器時代(紀元前6500から紀元前4500)の遺跡(パリ15区アンリ・ファーマン通り)から発掘されたオーク木のカヌー

初めのセクションは、紀元前9600年から中世時代のパリ市内から出土したコレクションです。青銅器時代(紀元前2000年-800年)パリが『パリシイ(Parisii)』と呼ばれていた時代に使用していた硬貨、香水やワイン、蜂蜜に使用したボトル(4世紀)が展示されています。

また次の中世時代セクションでは、哲学者ヴォルテールのアームチェア、7世紀レアール地区にあるイノセントの墓地と、ピエールサラザン通りのユダヤ人墓地(12世紀と13世紀にパリに設立したユダヤ人コミュニティ)など、パリで発掘された出土品は見る価値があります。


1階(日本式2階):パリ中世時代(1547年から18世紀)、16世紀半ばから17世紀

この階は、異なる時代のインテリアが再現された部屋が展示されています。ロココ調の部屋、ルイネスホテル(Hôtel de Luynes、17世紀)、デュゼスホテル(Hôtel d’Uzès、18世紀)、ブルトゥイユホテル(Hôtel de Breteuli、18世紀後半)、ここがかつてカルナヴァレ邸宅として、当時のブルジョワな人たちが生活と美的感覚を体感できます。


2階(日本式3階):フランス革命と19世紀初頭

ルイ=シャルルとマリー=アントワネットの肖像画(フランス王室の中で、最年少であり最も短い期間の王)

次のセクションでは、『人間と市民の権利宣言』から始まり、国民の不満や飢えから起こったバスティーユ牢獄を襲撃、王政の崩壊とルイ16世一家の最後の時など、フランス革命の象徴的な場面や人物に関する展示品が、革命の流れとともに詳しく学ぶことがきます。

タンプル塔に幽閉されていた時のルイ16世一家の家具

パリのタンプル塔に幽閉されていた時のルイ16世一家の家具や小物、ボードゲームが展示されています。興味深いのはマリー=アントワネットの髪の毛が入った指輪や髪飾りです。彼女は投獄生活のストレスまたは、処刑のために短髪にしたためなのか、彼女はグレーヘアーになったと聞きました。そこに展示されている彼女の遺髪は確かに真っ白な髪の毛でした。

フランス革命によって誕生し、最後の王となったルイ・フィリップ王の机。革命家によって机の金具が何かで無理やり壊された跡が、生々しく残っています。何か重要な手紙が収められていたのかもしれません。

ルイ・フィリップ王の机、1848年2月24日革命家による侵入の痕跡


芸術家たちの痕跡

ベル・エポック(19世紀末から20世紀初頭):ジャン・ベロー、アンリ・ジェルべクス、ルイーズ・アベマを含む40点以上の絵画

最後のセクションでは、パリにゆかりのある芸術家たちの作品や遺品が展示されています。小説家マルセル・プルーストの最後の寝室から来た家具、シンプルな真鍮性のベッドで『失われた時間を求めて』のほとんどを構成しました。寒がりだった彼が常に着ていた毛皮のコートと杖、天井と壁に敷かれたコルクプレート(窓に表示)によって、外気や外の音を消していました。

アルフォン・ミュシャのデザイン、宝石店『フーケ』の店内装飾

アルフォン・ミュシャが手がけた宝石店『フーケ』の店内は灯りが少なく暗い印象でしたが、当時の照明は今と違いこのくらい薄暗かったのかもしれません。

建築家アンリ・ソヴァージュと家具職人ルイ・マジョレルによるオペラ大通り41番地にある有名なレストランを再現している『カフェ・ド・パリ』。色合いや家具は、シックでエレガントなアールヌーボーを見ることができます。ここでお茶をしたらどれだけくつろげるか想像してるとここで一息つきたくなります。

ベルエポック時代の『サロン・ド・パリ』


現代のパリ(1917年から2023年のパリ)

藤田嗣治, Léonard Foujita: Café interior (1958)

2015年のテロ、2019年のノートル・ド・パリ大聖堂の火災、そして2020年の新型コロナウィルス感染症によるパンデミック、それによって引き起こされた大きな集団的感情を反映したパネルが展示されています。

カルナヴァレ美術館のカフェ・レストラン

カルナヴァレ美術館には、中庭にカフェ・レストラン『Fabulaファブラ』があります。テラス席のみのお店なので、春から秋までオープンします。(2024年4月8日から10月)

カフェは、飲み物からパスタやサンドイッチなどがあり、10時から18時、火曜日から日曜日まで営業しています。

レストランは、シェフ、トーマス・チザムが絵画のようなフランス料理を提供してくれます。19時半から夜中の2時、火曜日から土曜日まで営業しています。

トワイライトな時間に美術館を眺めながらのディナーは、時空を超えた夜にしてくれることでしょう。

予約はこちらから

パリのカルナヴァレ美術館は訪れる価値があるにはなぜ?

Place de l’Hôtel-de-Ville

・パリの豊かな歴史を網羅できる

パリ古代から現代と、特に今のフランスに重要な、フランス革命やパリ・コミューンなど重要な歴史的資料が豊富です。これによりパリの歴史や文化の変容を深く理解することができます。

・美しい建築とインテリア

美術館自体が歴史的な建物であり、16世紀にカルナヴァレ邸として貴族が住んでいたこと。また豪華なインテリアやその時代の生活様式を体感できます。

・入場無料で多様な展示品を鑑賞できる

カルナヴァレ美術館は、常設展示が無料で公開されています。フランス革命から有名人の遺品、装飾美術など多岐にわたる展示内容で魅了してくれます。

カルナヴァレ美術館の空いている時間帯、所要時間は?

カルナヴァレ美術館の空いてる時間帯は?

私がカルナヴァレ美術館を訪れた時間は木曜日の12時頃でしたが、同じタイミングで入る人は3人。

初めの展示場所には、全体像を撮る人や、一点一点ゆっくり文字を観察している人などいて、10人ほどいました。部屋の大きさにもありますが、時々私しかいない展示室があったので、平日の10時から13時が空いていると思います。

所要時間は?

地下から3階までひと通り見ると、2-3時間ほどかかります。

パリのカルナヴァレ美術館を訪れるためのヒント

・スーツケースなどの大きい荷物は持ち込めません。

・無料のセルフロッカーがあります。(40×36×36cm)

・写真撮影は許可されていますが、フラッシュや三脚その他の物理的な機器は禁止されています

・時代順(順番通り)に回るのをおすすめします。

・団体の方はこちらからオンライン予約が必要になります/(訪問予定日の少なくとも 6 週間前までにご予約)

・開催中の展示会についてはこちらから→カルナヴァレ美術館 

さいごに

カルナヴァレ美術館は、パリの歴史を深く学び、美しい建築やインテリアを楽しむことができます。多様な展示内容と無料での入場も魅力的です。パリを訪れる際には、パリの豊かな歴史を体感できるカルナヴァレ美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。


カルナヴァレ美術館

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