フランス・パリの歴史を深く知りたい方におすすめなのが、カルナヴァレ美術館(Musée Carnavalet)。マレ地区の中心に位置し、16世紀の邸宅を利用したこの美術館は、パリの誕生から現代までを豊富なコレクションで紹介する貴重な歴史博物館です。

常設展は入場無料のため、コストを抑えて充実の観光を楽しみたい方や、街歩きの合間に立ち寄りたい方にもぴったりです。この記事では、カルナヴァレ博物館の見どころ、行き方、おすすめの周り方まで、実際に訪れた体験をもとに詳しくご紹介します。

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カルナヴァレ美術館とは

カルナヴァレ美術館は、パリが所有・運営する歴史博物館で、パリの誕生から現代までの記憶が残されています。建物は16世紀のルネサンス様式の邸宅で、美しい中庭や装飾がそのまま残されており、建物自体が一つの芸術作品とも言えます。1880年に美術館として一般公開され、革命期の遺物からアール・ヌーヴォーの家具、著名人の遺品、ポスターや写真まで、幅広いコレクションが充実しています。


カルナヴァレ美術館の見どころ

展示されているのは、実際に市民が使っていた生活用品や装飾品。革命時代の武器や旗。ナポレオンやマリー・アントワネットの遺品。どれもパリの歴史の現場を感じさせる、貴重な資料ばかりです。

各部屋のインテリア再現展示では、17世紀から19世紀のパリの暮らしを、臨場感たっぷりに味わうことができます。歴史ファンはもちろん、美術やインテリアに興味のある方にとっても、見応え抜群の空間です。


カルナヴァレ美術館の周り方

カルナヴァレ美術館は2棟に分かれており、合計で140ほどの部屋があります。すべてをじっくり見ようとすると半日はかかるため、興味のある時代やテーマに絞って周るのがおすすめです。

たとえば「フランス革命期」、「ベル・エポックのパリ」、「パリ万博」、「文学・芸術家の部屋」など、セクション別に構成されているため、自分の関心に合わせてコースを決めましょう。


中世時代のパリの街並み|ジョルジュ・カイン・ギャラリー

Carnavalet Museum in Paris, where old placards and signs hang from the ceiling. They are rusted and blackened. 2
グリフィンや人魚、ワインショップ、パン屋(ブランジェリー)などの看板が並ぶ|カルナヴァレ美術館

カルナヴァレ美術館に入ると、まずはじめに少し錆びて味のある看板や標識が出迎えてくれます。16 世紀から 20 世紀にかけて、当時の人たちは、この看板を見ながら石畳を歩いていたと想像したら、ノスタルジックな気持ちになります。


地下|先史時代:考古学コレクションの部屋

新石器時代(紀元前6500から紀元前4500)の遺跡(パリ15区アンリ・ファーマン通り)から発掘されたオーク木のカヌー|カルナヴァレ美術館

初めの部屋は、紀元前9600年から中世時代のパリ市内から出土したコレクションです。青銅器時代(紀元前2000年-800年)パリが「パリシイ(Parisii)」と呼ばれていた時代に使用していた硬貨、香水やワイン、蜂蜜に使用したボトル(4世紀)が展示されています。

また次の中世時代では、哲学者ヴォルテールのアームチェア、7世紀レアール地区にあるイノセントの墓地と、ピエールサラザン通りのユダヤ人墓地(12世紀と13世紀にパリに設立したユダヤ人コミュニティ)など、パリで発掘された出土品は見る価値があります。


1階(日本式2階)|パリ中世時代

セヴィニエ夫人の肖像画と部屋、ルイネスホテル(Hôtel de Luynes、17世紀)、デュゼスホテル(Hôtel d’Uzès、18世紀)、ブルトゥイユホテル(Hôtel de Breteuli、18世紀後半)部屋|カルナヴァレ美術館

この階には、パリの中世時代のインテリアが再現された部屋が展示されています。ロココ調の部屋、ルイネスホテル(Hôtel de Luynes、17世紀)、デュゼスホテル(Hôtel d’Uzès、18世紀)、ブルトゥイユホテル(Hôtel de Breteuli、18世紀後半)、ここがかつてカルナヴァレ邸宅として、当時のブルジョワな人たちが生活と美的感覚を体感できます。


2階(日本式3階)|フランス革命と19世紀初頭

ルイ=シャルルとマリー=アントワネットの肖像画(フランス王室の中で、最年少であり最も短い期間の王)|カルナヴァレ美術館

フランス革命コーナーは、この博物館の心臓部です。「人間と市民の権利宣言」から始まり、革命を叫んだポスター、ギロチンの刃など、華やかな宮廷文化が一夜にして崩れ去った激動の時代を学ぶことができます。

タンプル塔に幽閉されていた時のルイ16世一家の家具|カルナヴァレ美術館


特に印象的なのが、パリのタンプル塔に幽閉されていたルイ16世一家の遺品です。マリー・アントワネットの髪の毛が入った指輪や髪飾りが展示されていますが、その遺髪は真っ白。

投獄のストレスで髪が白くなったと言われる彼女の、最期の日々が静かに物語られています。

ルイ・フィリップ王の机、1848年2月24日革命家による侵入の痕跡|カルナヴァレ美術館


フランス革命によって誕生し、最後の王となったルイ・フィリップ王の机。革命家によって机の金具が何かで無理やり壊された跡が、生々しく残っています。何か重要な手紙が収められていたのかもしれません。


芸術家たちの痕跡

ベル・エポック(19世紀末から20世紀初頭):ジャン・ベロー、アンリ・ジェルべクス、ルイーズ・アベマを含む40点以上の絵画|カルナヴァレ美術館

最後の部屋では、パリにゆかりのある芸術家たちの作品や遺品が展示されています。小説家マルセル・プルースト(Marcel Proust)の最後の寝室から来た家具、シンプルな真鍮性のベッドで「失われた時間を求めて」のほとんどを構成しました。寒がりだった彼が常に着ていた毛皮のコートと杖、天井と壁に敷かれたコルクプレートによって、外気や外の音を消していました。

ベルエポック時代の「サロン・ド・パリ」
|カルナヴァレ美術館


建築家アンリ・ソヴァージュ(Henri Sauvage)と家具職人ルイ・マジョレル(Louis Majorelle)によるオペラ大通り41番地にある有名なレストランを再現しているカフェ・ド・パリ

色合いや家具は、シックでエレガントなアールヌーボーを見ることができます。ここでお茶をしたらどれだけくつろげるか想像してるとここで一息つきたくなります。


カルナヴァレ美術館を訪れるためのヒント

ペット、スクーター、スーツケースは持ち込めませんが、荷物は無料のセルフロッカー(40×36×36cm)があります。
写真撮影は許可されていますが、フラッシュや三脚その他の物理的な機器は禁止されています。

私がカルナヴァレ美術館を訪れた時間は、7月の木曜日、12時頃でした。同じタイミングで入り口にいたのは3人ほど。初めの部屋の看板通りには10人ほどいましたが、そのあとは誰もいない場所も多々ありました。混雑を避けたい方は午前中の早い時間帯の訪問がおすすめです。

  • 所要時間は、地下から3階まで一通り見るなら約2〜3時間
  • 作品を1点ずつゆっくり鑑賞する場合は半日ほど必要
  • 無料のセルフロッカーあり(40×36×36cm)
  • スーツケースなど大きな荷物は持ち込み不可
  • 写真撮影は可能だが、フラッシュ・三脚などの機材は禁止
  • 時代順(展示順)に回るのがおすすめ


パリ滞在中はWi-Fi環境が必須

美術館の公式アプリを使ったり、Googleマップで道案内を見たり、レストランを予約したり。旅行を快適にするには、インターネット環境が欠かせません。

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さいごに

カルナヴァレ博物館は、派手さはないかもしれません。インスタ映えするきらびやかさも、ないかもしれません。でも、ここには本物があります。

革命の時代を生き抜いた肖像画、貴族や庶民の暮らし、プルーストが暮らした部屋、古い商店の手描き看板など、パリの記憶がここに収められています。

パリに訪れた際には、パリの豊かな歴史を体感できるカルナヴァレ美術館に訪れてみてはいかがでしょうか。

カルナヴァレ美術館 (Musée Carnavalet)

入場料: 常設展は無料(一部特別展は有料)
予約: 必要なし
開館時間: 10:00-18:00(最終受付: 17:15/ 月曜休館)
空いてる時間帯: 10時-13時頃
所要時間: 2-3時間
公式サイト: カルナヴァレ美術館公式サイト 

作品数: 約62,5万点、展示数: 3,800点
芸術形式: 絵画、彫刻、家具、工芸品、装飾美術品、歴史的オブジェ、考古学コレクション、看板、写真、デッサン、版画、ポスター、メダル、コインなど

建設立: 1548年(カルナヴァレ館)、1688年(ル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館)
建築様式: ルネッサンス様式
建築家: フランソワ・マンサール(1660年、カルナヴァレ館を改修)、建築家ピエールバレット(1960年、ル・プルティエ・ド・サン=ファルジョー館を建築)

住所: 23 rue de Sèvignè, 75003 Paris(map)
エリア: パリ3区(マレ地区)
アクセス:メトロ1号線「Saint-Paul」駅から徒歩約5分
・イド付きツアー: 5-7€(フランス語または英語)

▶︎ ヴォージュ広場やピカソ美術館も徒歩圏内。マレ地区周辺の有料美術館も回るなら、パリ・ミュージアムパスで時間もお金も節約!


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