パリのシャンゼリゼ通りのすぐそば、グラン・パレ(Grand Palais)と向かい合うようにして建つプティ・パレ(Petit Palais)は、1900年のパリ万国博覧会のために建てられた優美な建築で、現在はパリ市立美術館として入場無料で一般公開されています。

古代から20世紀初頭までのヨーロッパ美術を中心に、絵画、彫刻、装飾美術、工芸品など多彩なコレクションが揃い、館内はまるで宮殿のような華麗さ。中庭には緑あふれる回廊付きのカフェも併設されており、観光の合間に静かで贅沢なひとときを過ごすことができます。

パリ中心部にありながら、あまり混雑せず、地元の人々やアート好きに親しまれる隠れた名所ともいえる美術館。静かで洗練された空間と、美しい中庭カフェも魅力。芸術と建築の両方を味わえる、パリで見逃せない美術館の一つです。


心に残った作品

手前: ポール=アルベール・バルトロメ(Paul-Albert Bartholomé)「泣いている少女」(Petite fille pleurant)1891 奥: オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)「愛と精神」(Amour et Psyché)1885, プティ・パレ

ポール=アルベール・バルトロメ(Paul-Albert Bartholomé)「泣いている少女」(Petite fille pleurant)は、少女はうずくまり、傷ついた心を守っている様子。一方で、オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)「愛と精神」(Amour et Psyché)では、深く結びついた二人が愛と幸福、そして高揚感のなかで静かに抱擁し、精神的に溶け合っている。

まるで少女が成長し、やがて愛を知り、心の奥で誰かと繋がる未来へと向かっていくようにも見えます。二つの彫刻はそれぞれに異なる感情を抱えながらも、互いに繋がり静かに物語を紡いでいるようでした。

実際に、バルトロメとロダンは芸術を通じ、友情で結ばれていました。この作品の並びにも、精神的なシンクロが起こっているようにも感じました。目の前で、感情が揺らぎ、そして時間の流れが交錯する、不思議で静かな一瞬が訪れました。


プティ・パレの見どころ

アルベール・ベスナール(Albert Besnard)プティ・パレ(Petit Palais)玄関ホールの象徴主義パネル「神秘」「造形」「思考」「物質」1903~1910, プティ・パレ

最初に出迎えてくれたのは、アルベール・ベナル (Albert Besnard)による4枚の天井絵と、19世紀の彫刻たち。その通りを抜けると、アールヌーボーの家具、そして19世紀末から20世紀初頭の絵画たちが並び、教科書の中に入ったような感覚がしました。


優美な建築そのものが芸術作品

プティ・パレは、建築家シャルル・ジローによって設計されたボザール様式の建物で、外観からしてすでに美術作品のよう。新古典主義様式とアール・ヌーヴォーが融合した華麗な外観、優雅な曲線を描く金の門、繊細なモザイク装飾が施された回廊など、訪れた瞬間からその壮麗さに圧倒されます。

建物中央にはガラス屋根の中庭があり、アーチ型の回廊が四方を囲んでいます。中庭には池と噴水、緑に囲まれたカフェスペースもあり、パリの喧騒を忘れるような静寂と美しさが広がります。


古代から19世紀末までの名品がそろう常設展示

1900年のパリ万博のために建てられた壮麗な建物には、クロード・モネ(Claude Monet)、ウジェーヌ・カリエール(Eugène Carrière)、ウィリアム・ブグロー(William Bouguereau)などフランス美術の巨匠の作品が並び、ルネサンスからアール・ヌーヴォーまで幅広いジャンルが展示されています。

常設展では、時代順・テーマ別に構成されており、古代ギリシャ・ローマの彫刻からルネサンス、バロック、ロココ、そして19世紀のアール・ヌーヴォーまで、さまざまな時代の絵画・彫刻・工芸品が展示されています。が展示されています。


特に見逃せないの名画や逸品の数々

  • ウジェーヌ・ドラクロワ(Eugène Delacroix)
    「死せるキリストを抱く聖母」(La Vierge et le Christ mort)1850年頃に描かれた、ロマン主義の巨匠による、劇的な筆致と深い陰影が印象的な宗教画。
  • ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau)
    「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」(Hercule et l’hydre de Lerne)1876年。神話をテーマにした象徴主義の作品。幻想的な色彩と装飾的な構図が特徴です。
  • ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet)
    「セーヌ川沿いの若い女性たち(夏)」(Les Demoiselles des bords de la Seine (été) 1857年。セーヌ川の岸辺で憩う若い女性たちを描いた写実主義の代表作。


装飾美術とアール・ヌーヴォーの華

中世からルネサンス期の宗教美術や、18〜19世紀の装飾芸術は見ごたえがあります。また、これらの作品は単なる装飾品というよりも、19世紀フランスの芸術と生活文化の融合を感じさせてくれます。金属細工やガラス工芸、アール・ヌーヴォー様式の家具や陶器、美しい曲線と自然モチーフで彩られています。

  • エミール・ガレ(Émile Gallé)ガレ=ナンシー派( École de Nancy)のガラス作品。
  • ウジェーヌ・グラッセ(Eugène Grasset)エクトール・ギマール(Hector Guimard)の家具・インテリア。
  • ルネ・ラリック(René Lalique)による宝飾品。


中庭カフェで休憩

展示鑑賞のあと、中庭カフェで軽食や飲み物を楽しみながら、明るく心地よい空間でゆったり過ごせます。ただし、私が訪れた日は中庭が改装中で立ち入れず、クロード・モネの絵画も別の美術館に貸し出されていたため鑑賞できませんでした。訪れる際には、事前に開館状況や展示の有無を確認しましょう。

 パリ滞在中は海外Wi-FiやeSIMが必須

Googleマップでの道案内や、レストラン予約、SNSへの投稿もストレスフリー。複数人での利用ならWi-Fiルーター、一人旅ならeSIMがお得です。

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周辺の観光スポットもセットで楽しめる

  • グラン・パレ(Grand Palais)
    向かいには、ガラスのドームが印象的なグラン・パレがあります。期間限定の現代アート展やイベントが多く、セットで訪れるのがおすすめです。
  • シャンゼリゼ通り
    美術館から徒歩5分ほどで、有名なシャンゼリゼ通りにアクセスできます。
  • アレクサンドル3世橋
    フォトジェニックな絶景スポット。


さいごに

プティ・パレ美術館は、建築・絵画・装飾芸術が融合した美術空間で、入場無料ながら質の高いアートを楽しめる貴重なスポットです。グラン・パレやシャンゼリゼ通り、アレクサンドル3世橋からも徒歩圏内にあり、観光の合間にも立ち寄りやすく、静かな環境で芸術を堪能できます。美術初心者からアート愛好家まで幅広くおすすめできる、パリ旅行でぜひ訪れたい場所です。

プティ・パレ美術館(Petit Palais)

開館時間: 10:00〜18:00(月曜休館)
入場料: 無料(一部特別展は有料)
所要時間: 約2時間
混雑しにくい時間帯: 午前10時〜12時、平日午後遅め
公式サイト: プティ・パレ公式サイト 

住所: Avenue Winston Churchill, 75008 Paris
最寄駅: メトロ1・13号線「Champs-ÉlyséesーClemenceau」駅から徒歩5分
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