パリ・ポンピドゥーセンター美術館で体感する現代アートの世界

マレ地区の歴史を感じる路地を歩いていると、突如と現れるカラフルなパイプに覆われた現代鉄筋の建物、パリのポンピドゥーセンター(Centre Pompidou)。パブロ・ピカソやアンリ・マティス、マーク・シャガールといった巨匠から、現代の前衛的なアーティストまで、約12万点以上の作品を収蔵しており、現代アート愛好家にとっての聖地とも言える場所です。

特に、20世紀から21世紀に至るアートの流れを一望できる展示は、アートファンにとって必見です。初心者から専門家まで幅広く楽しめるこの美術館は、現代アートのギャラリーや映画館、図書館などが集まり、そしてパリの美しい景色を楽しむことができることから、芸術愛好者だけでなく観光客にとってパリの必見のスポットとなっています。

パリ・ポンピドゥーセンターの見どころ

革新的な建築デザイン(Photo:建物)

ポンピドゥーセンターは、その建築自体が一つのアート作品とされています。レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースによる設計で、外観はカラフルな配管やエスカレーターがむき出しになったユニークな構造です。この斬新なデザインは、1977年の完成当初から賛否両論を呼び、現在ではパリの象徴的な建物の一つとなっています。


展示空間

1914年以降のアート作品を中心に収蔵しており、常設展示は時代やテーマごとに区切られています。キュビスムやシュルレアリスムの作品が充実しており、これらのムーブメントがアート界に与えた影響を深く知ることができます。ピート・モンドリアン、アルメルト・ジャコメッティ、フランティセック・クプカなど、近代から現代にかけての名作が集結しています。


美術館以外の楽しみ方

左にエッフェル塔、右の丘の上にサクレクール寺院が見えます

ポンピドゥーセンターはパリ中心に位置しているため、エスカレーターで上の階に上がっていくにつれて、パリの街が見えていきます。そして最上階からは、エッフェル塔やサクレ・クール寺院などのパリのランドマークが一望できます。また公共図書館のほかに現代美術研究者のためのカンディンスキー図書館があります。そしてショップには、アート関連の書籍やグッズが充実しており、訪問の記念としてもおすすめです。


パリ・ポンピドゥーセンター収蔵作品について個人的な感想

Nus de dos, Henri Matisse, 1909-1964

フォービスム派アンリ・マティスの彫刻作品。

”絵を描くのに疲れたときに作りました。媒体の変更のために。しかし画家として彫刻しました。”(アンリ・マティス)

壁に持たれている女性にも見えましたが、キャンバスの上に女性を描いた、立体的な絵画とも言えるのではないでしょうか。

キュビスム(Cubisum)パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)とジョルジオ・ブラック(Georges Braque)

Le Guitariste, Pablo Picasso, 1910 夏
Le Guéridon, Georges Braque, 1911 秋

このキュビスムのセクションでは、パブロ・ピカソとジョルジオ・ブラックを対比することができます。ピカソは、どっしりと重みを感じ、重厚なギターの印象を受けます。ブラックの方は、ギターのパーツが見えたり、軽く明るい音が聞こえてくる気がしました。

マルク・シャガール(Marc Chagall)

Les Mariés de la tour Eiffel, Marc Chagall, 1938-1939

色彩の魔術師の異名を持つ彼ならではの、艶やかで幸せと愛を感じさせてくれる作品です。シャガール・ブルーと言われる青色の美しさのエッフェル塔、シャガールとその妻ベラ、太陽と天使が描かれていて幸福な印象を受けますが、生き物の目がリアルで、そこから現実はどうだったのか、、苦しみや悲しみ、怖さも感じました。

シャガールの独特なタッチと、浮遊している人間や生き物からメルヘンチックで心が暖かくなりそうだけど、これが彼が見ていた世界だっただろうかと彼の生い立ちから時代背景を考える時間になりました。


フランティセック・クプカ(František Kupka)

Bock syncopé n°1, František Kupka, 1928

抽象芸術(Abstract Art)創始者の一人でもあり、キュビズム初期の先駆者であり共同創始者だったフランティセック・クプカ(František Kupka)。彼の作品を見ていると、絵がだんだんと動いてくるような錯覚に陥ります。生命の細胞や核といったマイクロ世界は常に動いていることを思い出します。

自然界が生み出すフラクタル模様と自由なアブストラクトが合わさり空白が埋まっていくように感じます。


5階の現代アートコレクション

Lithuanian Contemporary Art from the 1960s to Todayより

6階から階段で5階へ降りていくと、新進気鋭のアーティストによる前衛的な作品が展示されており、現代のデジタルアートやインスタレーション、多様な視点でアートを楽しむことができます。

この写真の作品は、肌色の布とプラスチックの赤い器が乗ってあり、それ銀の釣鐘で張ってあり、風がふくと揺れる、微動と動いている。床を見ると人の体のようで、人体のスケルトンのように見えます。

ポンピドゥーセンターを訪れるときのポイント

おすすめ時間と所要時間

おすすめの時間帯は、平日の午前中は比較的ゆったり鑑賞できます。所要時間は、じっくり見て回るなら3~4時間は必要です。常設展示は通常、火曜日以外の10:00~20:00に開館しています。

Hummingbird

パリの美術館は月曜日が閉館しているところが多いので、月曜日はポンピドーセンターに来て、火曜日はルーブル美術館やオルセー美術館などと予定を組むのもいいかもしれません。


チケット予約

当日チケットをカウンターで購入もできますが、事前にオンラインで購入することで、スムーズに入場できます。チケットは、ポンピドゥセンター公式サイト(チケットの予約)から時間の指定とチケットを購入できます。

さいごに

パリのポンピドゥーセンターは、世界的に有名なアートコレクションから映画館、図書館が併設され、多彩な文化活動を可能した芸術センターです。また絶景スポットとしてもパリの観光名所としても高く評価されています。パリに訪れる際は、現代アートに触れる貴重な体験をぜひポンピドゥーセンターで堪能してみてください。

Information

2025年末から2030年まで、ポンピドゥセンターは改修工事のため閉鎖されます。パリに行かれる方は今のポンピドゥセンターの見納めおきましょう。

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