パリを訪れるなら、ぜひ足を運びたいロダン美術館(Musée Rodin)。世界的彫刻家オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)の代表作『Le Penseur(考える人)』をはじめ、美しい庭園や18世紀の邸宅で、彫刻の制作過程を感じながら、作品の本質に触れることができます。
この記事では、ロダン美術館の収蔵作品や、ロダンと深い関わりを持ったカミーユ・クローデル(Camille Claudel)の作品まで、美術館の魅力を分かりやすく紹介します。
オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin) 年表
オーギュスト・ロダン (Auguste Rodin) 年表
1840年 パリ生まれ。中産階級の家庭に育つ
1857年 美術学校(エコール・デ・ボザール)の彫刻科を受験するが不合格(以降3回落ちる)。職人として働きながら彫刻を学ぶ
1864年 最初のパートナー、ローズ・ブーレとの間に息子をもうける
1875年 イタリア旅行でミケランジェロの作品に触れ、大きな影響を受ける
1877年 『L'Âge d'airain(青銅時代)』を発表
1880年 『La Porte de l'enfer(地獄の門)』の制作を国から正式に依頼される(未完に終わるが、数々の名作がここから生まれる)
1883年頃 弟子として出会ったカミーユ・クローデルと恋愛、創作関係に入る(後に破局)
1886年 『Le baiser(接吻)』『Le Penseur(考える人)』などの独立作品を発表。名声が高まる
1891年 作家バルザックの肖像制作を依頼される。後に『バルザック像』として発表(当時は酷評されたが、のちに再評価)
1900年 パリ万国博覧会で個展を開き、国際的に評価を確立
1908年 パリ7区の邸宅「オテル・ビロン」に移り住む(現在のロダン美術館)
1917年 11月、ローズ・ブーレと結婚(数週間後に彼女が死去)。同年11月17日、ロダン死去(77歳)
1919年 ロダン美術館開館(遺言により、邸宅と作品を国家に寄贈)
ロダン美術館

眠り』1889-1894|ロダン美術館(Musée Rodin)
ロダン美術館は、パリ7区アンヴァリッドの近くに位置する18世紀の邸宅ビロン館を活用した美術館です。1919年の開館以来、ロダンが晩年を過ごし、数々の名作を生み出したこの場所で、彼の芸術世界を体感できます。
ロダン美術館の魅力
制作過程が見られる貴重な展示
完成作品だけでなく、石膏原型、未完成の彫像、スケッチ、指示書まで展示されています。ロダンがどのように作品を構想し、完成させたのか、その創作プロセスを間近で体験できる貴重な機会です。
ロココ様式の美しい建築と庭園
18世紀ロココ建築の傑作であるビロン館の内装や調度品も見どころです。広大な庭園には彫刻作品が点在し、四季折々の自然とアートが調和した空間を散策できます。
近代彫刻の革新に触れる
ロダンは近代彫刻の父と呼ばれ、動きや感情、内面を彫刻で表現する革新的な手法を確立しました。石やブロンズに命が宿ったかのような作品は、現代アートにも大きな影響を与えています。
ロダン美術館の代表作品

『Le Penseur(考える人)』 – ロダンの最高傑作
ロダンの『Le Penseur(考える人)』は、深い思索に沈む男性像で、人間の内面や知性の力強さを象徴する彫刻です。深い思索に沈む男性像で、人間の知性と内面を象徴するロダンの代表作です。
もともと『La Porte de l’enfer(地獄の門)』の一部として構想され、詩人ダンテの姿を表現しています。全身の筋肉の緊張感が考えるという行為を力強く表現しており、思考という抽象概念を重厚なブロンズで形にした革新的な作品です。
鑑賞のポイント
- 360度あらゆる角度から観察しましょう
- 背中や腕、足の筋肉表現に注目
- 顔の陰影からロダンの緻密な観察力を感じ取れます
『La Danaide/Danaid(ダナイド)』 – 官能と絶望の表現
ギリシャ神話のダナオスの娘たちをモチーフにした作品です。永遠に水を汲み続ける罰を受けた彼女の無限の苦しみが表現されています。石に身を投げるように倒れる裸婦の姿は、肉体の重さと精神の絶望を同時に表現しています。
鑑賞のポイント
- 身体の流れるような曲線に注目
- 髪や体が大理石に溶け込む表現の官能性
- 悲劇性と美しさの対比を感じ取りましょう
パリ滞在中はWi-Fi環境が必須
美術館の公式アプリを使ったり、Googleマップで道案内を見たり、レストランを予約したり。パリ旅行を快適にするには、インターネット環境が欠かせません。
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カミーユ・クローデルの作品も必見

奥:オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin) 『Persée et Méduse(ペルセウスとメドゥーサ)』1887|ロダン美術館 (Musée Rodin)
カミーユ・クローデルの『Persée et la Gorgone(ペルセウスとゴルゴン)』では、ペルセウスが片手にメドゥーサの首を、もう一方の手に鏡の盾を持ち、その鏡越しにメドゥーサを見つめる姿が描かれています。この構図は神話に基づいたものですが、同時に、見ること、見られること、自己を見つめることを象徴しており、カミーユが自身の内面と向き合っていた時期に制作されたことがうかがえます。メドゥーサの顔がカミーユ自身に似ているとも言われ、単なる神話の再現ではなく、彼女の内省や思いが込められた作品です。
一方で、ロダンの『Persée et Méduse(ペルセウスとメドゥーサ)』は未完成ですが、英雄神話を伝統的に解釈した作品として知られます。理想化されたペルセウスや、勝者と敗者のはっきりとした構図は、古典的な視点から神話を描いた力強い表現です。
素材の扱いにも両者の違いが現れています。カミーユの作品は、石でありながらシルクのように柔らかく温かみを感じさせ、静かな感情を呼び起こします。対してロダンの作品は荒々しい表面と重量感が際立ち、造形の迫力が強く印象に残ります。
同じ神話を題材にしていても、二人の視点は大きく異なります。ロダンは形式美と緊張感を重視し古典的な英雄像を追求しました。一方カミーユは、神話の中に自己を重ね、内面の葛藤や再生を静かに語りかけるような作品を生み出しています。その対比の鮮やかさに、鑑賞者は自然と惹きつけられ、心を動かされることでしょう。
実際に訪れた感想 – 6月の暑い日の美術館
6月末、気温29〜30度のパリで訪問しました。作品保護のため館内の窓が閉められており、予想以上に暑かったのが正直な感想です。
ただし、展示されている彫刻の素晴らしさには暑さを忘れるほど魅了されました。特にカミーユ・クローデルの作品は圧巻です。石とは思えない柔らかな質感、まるでそこに人がいるかのような存在感、豊かな感情表現に見入ってしまいました。
庭園の木陰は涼しく快適で、夕方になると心地よい風を感じられます。夏場の訪問は、庭園での鑑賞を中心にプランを立てるのがおすすめです。
ロダン美術館ガイド
ロダン美術館を訪れる前に、知っておくと便利な情報をまとめました。快適でスムーズな鑑賞のためにチェックしておきましょう。
おすすめの時間帯は、夏は朝一番や夕方の訪問がおすすめ。混雑を避けてゆっくり鑑賞できます。所要時間の目安は、美術館内と庭園を含めて、平均2〜3時間の滞在を見込むと余裕をもって楽しめます。
ロダン美術館はパリ・ミュージアムパス対応なので、パスを利用すればスムーズに入場可能です。パリ・ミュージアムパスを使えば他の美術館や観光地もまとめて訪問できて便利です。
さいごに
ロダン美術館は、完成作品だけでなく、制作の過程や作家の思いまで感じられる貴重な場所です。未完成の原型や石膏像からは創作のリアルが伝わり、カミーユ・クローデルをはじめとする仲間たちとの関係性や、時代を超えて影響を与え合った芸術家たちの作品にも触れることができます。
美しい庭園と歴史ある邸宅に囲まれたロダン美術館では、芸術や自然、歴史、哲学を同時に感じられる特別な時間が過ごせます。パリを訪れた際は、ぜひ『考える人』をはじめ、近代彫刻の革新に触れてみてください。自然、歴史、哲学、建築が交差するここで過ごす数時間は、人生にとって大切なひとときとなるはずです。
ロダン美術館(Musée Rodin)
開館時間: 10:00〜18:30(月曜休館、最終入場17:45)
入場料: 一般:13ユーロ(特別展込み)
公式サイト: ロダン美術館公式サイト
オーディオガイド:あり(有料、日本語)
チケットは事前予約がおすすめ ▶︎ ロダン美術館音声付スキップ・ザ・ライン入場券
住所: 77 Rue de Varenne, 75007 Paris, France
アクセス: メトロ13号線Varenne駅 徒歩約2分
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