パリ・モンマルトル美術館でアートと歴史を体感!訪れるべき理由と見どころガイド
パリのモンマルトル美術館(Musée de Montmartre)は、パリ18区のサクレ・クール寺院の裏通りを歩いていると、アパートメントのような入り口に看板が出ています。すぐ隣にはエリック・サティが住んでいたアパートメントや、ワイン畑、シャンソン・キャバレーのオ・ラパン・アジル(Au Lapin Agile)があります。
モンマルトル美術館の中に一歩ふみこむと、外の喧騒がシャットダウンされ、綺麗に手入れされた庭と邸宅があり、どこかのお屋敷に入った気分になります。ここはかつて画家や詩人たちの住居やアトリエとして使われていました。特にルノワールがこの地で制作したことから、彼の作品にインスピレーションを与えた場所としても有名です。
Ives Tanguy, Man ray, Piccasso, Jacques prévertと19世紀から20世紀初頭にかけて、モンマルトルを中心に活動していた多くのアーティストたちの作品も鑑賞できます。
美術館内の見どころ
1. アトリエの展示
オランジュリー美術館でモーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo)の作品を見たとき、どこか儚く寂しい印象をうけました。彼の生い立ちを調べていくと、母シュザンヌ・ヴァラドン(Suzanne Valadon)も画家であり、その母親との関係が彼の作品に影響しているのではないかと考えました。
彼女はオーギュスト・ルノワールのモデルをしていましたが、トゥールーズ=ロートレックに導かれて絵の描き始めました。そして100m先に住んでいたエリック・サティと恋愛関係になっていましたが、資産家ポール・ムージスと結婚し、この邸宅に住みアトリエを構えました。
その後彼女は息子モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo)の親友アンドレ・ユッター(André Utter)と恋に落ち、彼女の母親と息子とそして息子の親友と一緒に生活していました。
それぞれの家庭環境、その時代背景もあると思いますが、モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo)は複雑な環境で育った。母親の愛情を受けたいけど受けれない少年がそこにいるような気持ちになりました。だからなのか、彼の絵からはどこか満たされていない悲しみが伝わってきていました。
2. モンマルトルの歴史展示
カフェの再現部屋、モノクロの写真から彼らがそのカフェで議論を交わしていたのだろうかと、想像が掻き立てられます。
モンマルトルの歴史に焦点を当てた展示もあり、この地域がいかにして芸術家たちの憧れの地となったのか、その背景を学ぶことができます。キャバレー「ル・シャ・ノワール」やムーラン・ルージュなど、モンマルトル独自の文化が生まれた経緯も紹介されており、パリの芸術的な発展において重要な役割を果たしてきたことがわかります。
3. ルノワールの庭園
エントランスから石のアーチを抜けるとガラス張りのテラスに整備された芝生、そして少年がブランコを漕いでいました。
オーギュスト・ルノワールここに1875年から2年間住み、『ムーラン・ド・ギャレットの舞踏会』(1876)を描いています。また『ブランコ』(1876)や「ぶどう収穫」などの作品を制作する際にインスピレーションをうけたと言われる美しい庭園が広がっています。
個人的に好きな作品
・イヴ・タンギー(Yves Tanguy)
ジャック・プレヴェール(Jacques prévert)の寝室のドアに直接描かれた作品は、シュルレアリストたちの娯楽やアイデア、さまざまな人物が描かれており、右側はジャック・プレヴェールがいます。
訪問時のおすすめポイント
モンマルトル美術館を訪れる際には、敷地内のカフェやギフトショップにも立ち寄ってみてください。モンマルトルの風景を描いたポストカードやアートブックなど、記念になるアイテムが揃っています。
また、美術館の周辺には、モンマルトルらしいカフェやアートギャラリーが点在しているため、訪問後は散策を楽しみながら芸術的なインスピレーションを得ることができます。
まとめ
パリのモンマルトル美術館は、フランスの芸術史においても重要な作品がたくさんあります。この土地がまだ荒地だったときやサクレ・クール寺院の建設の様子など、モンマルトルの変容を写真や資料とともに知ることができます。
かつてはアーティストやボヘミアンが住んだ街、モンマルトル。今もキャバレーやバーがあり、夜な夜な人が集まって議論を交わしている姿を見ることがあり、いまだに活気あふれるエリアです。
他のエリアとは異なる独自の文化と雰囲気を持っているこのモンマルトルを深く理解することができ、そしてここを愛してやまなかった人たちの芸術と歴史が豊かに交差した痕跡を感じられる貴重な美術館です。
サクレ・クール寺院やテアトル広場に来たときには、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。