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いま、ニューヨークのアートは?
現地で日本人が立ち上げたアートレンタルサービスCurinaと連携したトークイベント「The Art Club by ArtScouter Vol.05」

2020.05.26開催

「The Art Club by ArtScouter」は、アートに関心を持ち始めたビジネスパーソンがアートとビジネスの関係や、アートそのものへの知見を深める場を創出するため、ArtScouter事務局により開催されています。

2020年5月26日に開催されたVol.5では、世界のアートの中心地ニューヨークで、2019年にアートレンタルサービス「Curina」を創業した朝谷実生さんにご登壇いただきました。

新型コロナウィルスの影響で世界のアートの流通が滞る中、日本でもニューヨークのアートを提供するため、CurinaとArtScouterは連携し、ArtScouter内でCurinaの人気作家の一部作品を購入頂けるようにしました。

ArtScouterのCurinaご紹介ページ

170名以上のビジネスパーソンの方々にご参加いただき大盛況となったトークイベントの内容を一部抜粋し、ご紹介致します。


司会:よろしくお願い致します。本日は、まずニューヨーク(※以下、NYと表記)のコロナ禍を巡る現在の状況や、それに関連したアート界隈のお話、朝谷さんがNYでアートをテーマとした起業に至った経緯についてお聞きします。そして、最後に現在ArtScouterで提携しているCurina登録アーティストをご紹介いただきます。

朝谷:朝谷実生と申します。2019年の夏からNYでCurina(キュリナ)という会社を起業し、アートのレンタルサブスクリプションビジネスを手掛けています。約3年前に留学のために渡米し、留学中に起業しました。

コロナ禍における現在のNYの生活環境やアートビジネスの現状について

司会:では、早速現在(※2020年5月下旬)のNYにおけるコロナ禍の状況からお伺いします。現在、経済活動の再開に向けて少しずつ進展していると聞きますが、実際はどのような状況なのでしょうか。

朝谷:3月上旬から現在まで、ロックダウンで家にいる生活が続いています。毎週土曜日に散歩に出る以外は、家の中にずっといます。スーパーもほぼ閉鎖されているので、食材はAmazon Freshで頼んでいます。最近は、1日にオーダーできる上限が決められているので、食材も取り合いのようになっていますね。

司会:運動などはできるのでしょうか?

朝谷:ジョギングなどはできます。ただ、私を含めニューヨーカーは結構ジムに通う人が多いのですが、アパート内のジムが閉鎖されているのが辛いですね。ジム内での感染が多いこともあり、再開はかなり先になりそうです。

朝谷:私はヘルズキッチンというタイムズスクエアから徒歩5分くらいのところに住んでいます。普段は左の写真のように、平日でも歩くのが難しいくらい多くの観光客で賑わっていますが、現在はガラーンとして、まるでゴーストタウンのようになっています。

朝谷:左に写っているのは、ジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センターという有名な展示場です。NYはベッド数が少ないので、ここでコロナ患者を隔離して、彼らを収容・治療しています。右の写真のように、亡くなられてもご家族の方が見に行けないので、このようにバッグに入れられてトラックで火葬場へと運ばれる光景がNYのあちらこちらで見られます。

司会:深刻な状況ですね。では、NYでのアート界隈の近況を教えて頂けますか?

朝谷:美術館もギャラリーも完全に閉鎖されています。ネット上でのバーチャル・アートフェアやバーチャル展覧会など、様々な工夫がなされていますが、実店舗を抱える中小ギャラリーの経営はかなり厳しいかもしれません。NYは家賃が非常に高いので、ギャラリー運営コストの40%以上が家賃で消えていくからです。

司会:えっ?運営コストの40%が家賃なのですか?!

朝谷:そうなんです。物件オーナーに交渉して支払猶予を求める動きも出ていますが、それでも追いつかないかもしれません。なぜなら、コロナ以前からNYではギャラリー同士の生き残りを賭けた競争が激しくなっていて、中小ギャラリーは合併や廃業が相次いでいましたので。コロナはその流れを加速させたという感じですね。

司会:Curinaでは、今回のコロナ禍でどのような影響を受けましたか?

朝谷:私達は元々実店舗を持たないオンラインのプラットフォームとして展開してきたので、経済的にはそこまで大きな影響を受けてはいません。ただ、日常業務の中で作品の搬入・搬出に関わる手続きは、非常にセンシティブなポイントなので気を使います。

司会:やっぱり今は外からモノが入ってくるということに抵抗があるのでしょうか?

朝谷:実は先日、Dig innというベーグルやサンドイッチで有名なNYのチェーン店で従業員がコロナに感染していたらしいのですが、そこからデリバリーを頼んだ人たちが感染したという事件がありまして。

司会:お弁当経由で感染するのですね?!

朝谷:そんな報道がありました。だから、特にレンタル作品の搬入出に関しては、お客さんと相談しながら慎重に進めています。

起業のきっかけや、アートとの出会い、原体験について

司会:ここからは、Curinaを起業されたきっかけや、アートとの出会い、原体験についてお聞きしていきたいと思います。

朝谷:元々アートが好きで、小さな頃からよく美術館に行っていました。小学校高学年の頃はイギリスに住んでいて、週末は家族でよく足を運びましたし、学校のクラスでもよく行きました。母が美術館で美術史の授業を取っていたことも、私がアート好きになった一つのきっかけになっているかもしれません。

司会:起業につながるヒントを得たのは、いつ頃なのでしょうか?

朝谷:NYで留学生活を始めた1年目の時でした。NYの文化を自分なりに身近に感じたかったので、アート作品をアパートの壁に飾ろうと思いました。でも、作品を買うとなると、非常に大変な思いをしました。

司会:実際に画廊に作品を買いに行かれたのですか?

朝谷:まずは近くの画廊に行ってみました。でもNYのギャラリーは、数百万~数千万円の高額な作品が多いこともあって、敷居が高いのですね。作品の説明書きを読んでも抽象的でよく理解できず、値段表示も不透明ですし、ギャラリストに声をかけづらい雰囲気もありました。

NYのギャラリー

朝谷:これは、私が実際に行ってみたチェルシー地区のギャラリーです。ギャラリストも中にいませんし、初心者にはいかにも入りづらい店構えですよね。少なくとも、洋服のお店みたいに気軽にパッと入れる感じではないかと思います(笑)。

司会:なかなか厳しそうですね・・・。でも今はインターネットでも作品を買うこともできますよね?

朝谷:オンラインでも作品を探そうしてみました。でも、今度たくさんありすぎて選べなくて。整理されていないので、目利きができない初心者にはどれを選んでいいのか判断が難しいのです。また、仮にネット上で欲しい作品が見つかったとしても、実際の作品を見ずに、いきなり数十万円のお金をオンラインで払うのは躊躇しますよね。

この時の経験が、まず借りてみて、自宅で確認してから気に入れば買えるという形式のレンタルサブスクリプションサービスを起業するきっかけになりました。

司会:ちなみに、朝谷さんは東京大学法学部卒業後、コンサルティング会社で勤務してからコロンビア大学でMBA(経営学修士)を修了されていますよね。コロンビア大学のMBAといえば、ハーバードやMITと並んで世界のトップビジネススクールとして有名ですが、日本では最近MBAよりMFA(美術学修士)の時代だ、といった話をよく聞くようになりました。朝谷さんの周囲では、MFAの評価はどうなのでしょうか?

朝谷:特に話題になっていないですね(笑)。私自身、アートビジネスをスタートしてから、初めてMFAという修士号の存在を知ったくらいです。また、MBA取得後にMFAへ挑戦するという話もあまり聞かないですね。MBAからロースクールへ通うケースは結構あります。

司会:日本だと「アート思考」といった言葉も去年くらいから話題によく上がるようになりました。アメリカのビジネスシーンやMBAなどでもArt Thinkingは話題になるワードなのでしょうか。

朝谷:いえ、ビジネスパーソンの間やMBAでArt Thinkingが話題になっているのは聞いたことがないですね。

司会:なるほど。日本ではヒットした本の影響もあり、アート思考もガラパゴス的な盛り上がりをみせているのかもしれませんね。では、具体的にコロンビア大学のビジネススクール(MBA)ではどのようなクラスが行われているのですか?

朝谷:いわゆる講義形式ではなく、基本的に対話をベースとしたクラスが多かったです。教授と参加学生とのディスカッションしながら進んでいく授業は、非常に面白かったですね。また、時間外でも話を聞きに行ってアドバイスをもらえることもありました。

司会:アートビジネスの起業に役立ったクラスは、何かありましたか?

朝谷:アートマーケティングの授業です。スポーツを専門としたスポーツマーケティングや贅沢品に特化したラグジュアリーマーケティングなど、マーケティング系の授業は充実していました。アートマーケティングの授業では、美術館やギャラリーのマーケティングを専門とするビジュアルアート、ミュージカルやクラシック音楽などのパフォーミングアートなど、色々学びましたね。

司会:特に印象深かったアートビジネスについての授業を一つ教えて頂けますか?

朝谷:カーネギーホールのマーケティング部門に話を聞いて、今後彼らがどのようにして自分達のマーケティング方法を改善するべきか、といったコンサルテーションの提案書を作成する授業です。

カーネギーホールはNYの中でも特に歴史があるホールなのですが、若い人にとっては半分観光地のようになっていて、コンサートを聞きに一度足を運ぶことで、満足してしまう人が多いようでリピート率が低いそうなのです。

司会:それは意外ですね?

朝谷:はい。こうしたホール側の悩みをヒアリングして、若年層にもっと足を運んでもらうための最適なブランディング案を提案書に落とし込んでいきました。具体的には、Webサイトのアープデート、ソーシャルメディアを活用した広告案、チケットの価格体系の見直し、サブスクリプション・サービスの導入などです。

司会:提案書作成では、どのあたりを工夫されたのですか?

朝谷:刷新するものと維持するもののバランス感です。ブランドをより広く浸透させる中で、若年層へのアピールを強化する一方で、歴史や伝統を第一に好む従来からの固定客への配慮も忘れないようにする必要がありました。

司会:非常に面白いですね!日本でも、京都など歴史のある企業が多数ありますが、今後は歴史や伝統に裏付けられた重厚感を残しながら、新しさを打ち出していく必要がありますよね。カーネギーホールの例とまさに同じだな、と思いました。

ビジネススクールに通いながら、試行錯誤で進めていった起業準備

司会:次に、朝谷さんがCurinaの事業構想をどのように練り上げていったのかお聞きします。ビジネススクールに通いながら同時に起業準備をされたそうですが、どのように進められたのですか?

朝谷:まず、顧客候補の洗い出しをしようと、徹底的にギャラリーにヒアリングをするところから始めました。

一番印象的だったのが、NYのギャラリスト達が想定している典型的な顧客ターゲットです。「顧客像としてどのような人を想定していますか。」と聞くと、“50代の投資銀行に勤めている白人男性で、離婚している人“だと言われて驚きました。

司会:そうなんですか?!

朝谷:そうなんです。離婚して、お金の使いみちが他になかったり、家に一人でいることが多いから、何か作品が欲しくなったりするそうです。なるほど、と思いました。でも、それは私の想定する顧客ターゲットとはちょっと違っていました。

司会:なんだか妙にリアルな話ですね。では、Curinaで想定したターゲットはどんな人達だったのですか?

朝谷:いわゆるウォールストリートで勤めているような高年収のニューヨーカーではなく、もう少し若年層を想定しました。具体的には、アートに興味があるけれども、アートを買うのに躊躇してしまっているような20代~40代の若いプロフェッショナル達ですね。ヤングビジネスプロフェッショナル層と呼んでいます。

そこで、まず身近なところで、私の顧客候補に近いと思われるビジネススクールの同級生に話を聞きに行きました。彼らは、目利きができないのでオンラインでどう作品を選べばいいかわからない、どのサイトがきちんとキュレーションされた信用できるサイトなのかわからない、検索の仕方もわからない、など、私が最初にNYでアートを買おうと思った時に感じたものとほぼ同じ悩みを抱えていました。

司会:アーティストにも話を聞かれたのですか?

朝谷:アーティストには、何が彼らの課題で、どのようなサポートが必要なのかを聞いていきました。まず、彼らは作品を通して自己表現するのを得意としている反面、自分の言葉で作品コンセプトや自己アピールをするのはそれほど得意ではないことがよくわかりました。

司会:その点は、日本のアーティストでも同様の傾向があるかもしれませんね。他には何か発見はありましたか?

朝谷:ヒアリングを通してわかった彼らに共通する悩みとしては、作家自身が、手元に売れ残ってしまった旧作を数多く抱えてしまうケースが多いということなんです。

司会:意外ですね?!なぜ古い作品がアーティストの手元で滞留してしまうのでしょうか?

朝谷:なぜなら、ギャラリストや展覧会主催者は、どうしても売れる確率が高い最新作を出品・販売したいと考えるからです。だから、売れ残って旧作になってしまった作品はアーティストの手元にどんどん残って、行き場がなくなってしまうのですね。

ギャラリーや展覧会主催者は、最新作の展示・販売を好む傾向にあるので、売れ残った旧作ばかりが作家の手元で死蔵されがちになる。

司会:なるほど、それは見えづらい問題点ですね。プロモーションやブランディング、マーケティング面が、アーティストにとっての課題なのですね。

朝谷:はい。

司会:起業直後はどのようにして顧客を開拓していったのですか?

朝谷:最初は、アートに興味はあるけれど、まだ作品を買えていないというお客さんをターゲットにして、彼らと出会えそうな場所に行って、そこで人脈構築を図りました。

司会:たとえばどのようなところに行かれたのですか?

朝谷:ブルックリン地区などアーティストが集まるエリアでは、オープンアートスタジオといって、週末ごとにスタジオを公開するイベントが頻繁に行われています。その時は、誰でもスタジオの中に遊びに行って、アーティスト本人やアートファン達とカジュアルに交流することができます。

そこで、私が持っている原体験の話をしたり、私の考えたビジネスモデルが、なぜアーティストにとって有益なのか訴えかけたりして、Curinaへの参加を呼びかけました。

司会:その時点では、まだビジネスは立ち上がっていなかったのですよね?

朝谷:はい。最初はWebサイトもビジネスも何もなかったので、ひたすら熱意が伝わるように話して、共感してもらった人たちを仲間にしていきました。

司会:凄いですね。ところで、朝谷さんは、ビジネスのプロセスを確立していく中で、ご自身ではどのようにしてアートを見る審美眼を養っていったのでしょうか?

朝谷:まず、お客さんを迷わせないためにも、キュレーションには絶対にこだわりたいと思っていました。ただ、起業時点では、私自身が特に目利きできるわけではなかったので、アートキュレーションやアートヒストリーを学んでいるインターン生の判断や、懇意にしている画廊オーナーの助言を参考にしてキュレーションのクオリティを確保するようにしていました。

投資家からも評価された、Curinaの「レンタルサブスクリプションサービス」とは?

司会:Curinaのレンタルサブスクリプションは、アートリーシングとどう違うのですか。

朝谷:アートリーシングは、分割払いで支払いながら、最終的に作品を所有することがゴールとなります。もし途中で支払えなくなった場合は、違約金を支払って中途解約するケースが多いですね。一方、レンタルの場合は解約時のコミットメントがありません。一定額のレンタルフィーを毎月支払って、ミニマムレンタル期間(※Curinaでは3ヶ月)終了後は、作品の返却、交換、買取から選ぶことができます。

司会:それは、Curina独自のビジネスモデルなのですか?

朝谷:いえ、レンタル自体は、真新しいビジネスモデルというわけでもありません。競合する別のギャラリーでもやっています。

ただ、彼らと私達の一番の違いはプライシングです。通常、アートレンタルを手掛けるギャラリーは、元々の作品価格とレンタル価格が連動する“ダイナミック・プライシング”という価格設定の仕方を採用しています。例えば、10万円の作品なら月々1万円、20万円なら2万円、30万円なら3万円といったような感じですね。

私達は、月々$38(4000円)プラン、$88(9000円)プラン、$148(15000円)プランと、わかりやすい3段階の固定定額制にしました。私達のターゲットとするお客さんはアート初心者なので、極力シンプルなレンタル価格体系がフィットすると考えたからです。

司会:他にはどのような特徴があるのですか?

朝谷:私達のシステムでは、月々のレンタルフィーが購入費用に充当できます。レンタル中の作品を購入したくなった場合は、過去に支払ったレンタルフィーの総額と作品価格の差額分だけを追加で払えば購入できるようにしました。この点は、アートリーシングに少し近い要素があります。

だから、Curinaのビジネスモデルは、アートリーシングのメリット、レンタルサブスクリプションのメリットの双方を組み合わせたモデルであるともいえますね。

司会:商品となる作品の在庫はどこで保管するのですか?

朝谷:Curinaは在庫を持たないビジネスモデルを採用しているので、作品がレンタルされるか購入されるまでは、各アーティストのスタジオで保管して頂いています。貸出のオーダーが入ったら、私達が彼らのスタジオからお客様に運ぶところまでを担当しています。

司会:これは素朴な疑問なのですが、レンタルには盗難や損傷など様々なトラブルも考えられますよね。そうしたリスクには、どのように対処されているのですか?

朝谷:Curinaで、一括してアート作品を対象とした保険に加入しているので、故意の損傷・盗難・転売以外のケースは、保険でカバーされています。ただ、そもそもアートが好きな人達が、将来の作品購入も視野に入れながら使ってくれているので、非常に丁寧に作品を扱ってくれていますね。

司会:創業当時、従業員はどのように採用されましたか?

朝谷:Handshake という、インターンシップ生の募集ができる学生向けのマッチングサイトを利用してマーケティング担当やWebディベロッパーなどいくつかの職種で募集をかけました。すると、2000件くらい応募があって、そこから書類選考、面接、課題提出などを経て絞り込んでいきましたね。

司会:えっ?!2000件も応募があったのですか?

朝谷:はい。アート系のスタートアップは非常に珍しいですし、Handshakeはコロンビア大学に限らず、各大学が使える共通のマッチングサイトだからです。

司会:彼らには給料などは支払ったのですか?

朝谷:いえ、インターンシップ生ですから無給です。そのかわり、インターンシップ経験を学内の単位取得に充当できるよう書類を整えたり、できるだけ彼らの望む就業体験を与えたりと、やりがいを見いだせるような工夫をしました。スタートアップ起業の創業者と働いて得た経験や成長実感は、彼らの将来の就職活動に大きくプラスになるんです。

司会:非常に無駄のない、考え抜かれたビジネスモデルに感服致しました。投資家からの評価も高かったのではないでしょうか?

朝谷:投資家から資金調達を受けるまで、約1年くらいかかったのですが、彼らから評価されたポイントは、ビジネスモデルや仕組み・・・ではなくて、“ふんばり力”でした(笑)。あきらめない心ですね。困難なことに直面した時、あきらめずに何とか解決策を探し出す根性を評価してもらいました。

司会:最終的には気合いや根性なのですね。貴重な体験談、ありがとうございます。

Curinaが日本のビジネスパーソンにおすすめする所属アーティストを一挙紹介!

司会:最後に、ArtScouterが提携しているCurinaの登録アーティストをご紹介頂きます。各作家を解説して頂く前に、Curinaでは、どのような観点を特に重視してキュレーションされているか教えて頂けますか?

朝谷:作品のストーリー性です。私達がアートを買う時は、見た目だけではなく、背後にどのようなストーリーがあるのか必ず確認するはずです。そのストーリーにはどんな意味や意図が込められているのか、どのようなメッセージをその作品で伝えたいのか明確に感じられるアーティストを選ぶようにしています。

司会:ありがとうございます。では、まずKati Villimさんからご紹介下さい。

朝谷:彼女はハンガリー出身のアーティストです。幾何学的な形状を使って、見えないものを見えるようにするということ、つまり「抽象化」をテーマに作品を作成しています。抽象化をテーマにした抽象画ですね。

我々の世界は全て抽象化でできあがっています。たとえば言語。英語ならアルファベットや数字ですね。それら一つ一つは意味をなさない記号ですが、これらを組み合わせて私達は意味を作り出してコミュニケーションを取っています。彼女は、この点を深く掘り下げて、見ている人たちに考えさせるような作品を作っています。

たとえば、ArtScouterにも登録されている「36 Squares」という作品を見てみましょう。彼女は、キャンバスを数学的なイメージを想起させるような6×6=36のスクエア状に分類して、サイコロの出目によって、予め決めておいた色でそれぞれのグリッドを描くというルールに基づいて、サイコロを投げながらグリッドを描いていきます。作品も非常に数学的なイメージを想起させますし、制作プロセスにも確率の考え方を盛り込んでいます。

※ArtScouterのKati Villimさん登録作品 一覧

司会:次は、Renee Phillipsさんですね。

朝谷:Reneeは、フロリダ出身のアーティストです。彼女もKatiと同じく抽象画を描いていますが、彼女のインスピレーション源は「自然」から来ています。抽象画ですが、彼女が「風、水、熱、重力を感じさせるような作品になっています」と語るように、離れて見ると浜辺、ビーチといった地上の地形のように見える作品が多いですね。

彼女は、絵の具を上手に操って、様々な色を塗っては乾かして、また上書きして・・・といったプロセスを経て作品を制作するので、彼女の作品は絵画でありながら彫刻のような3D的な質感があります。見る角度によって見え方も変わりますし、色々な作品の楽しみ方ができるのも作品の魅力です。

※ArtScouterの Renee Phillipsさん 登録作品 一覧

司会:続いては、Philippe Halaburdaさんをご紹介頂けますか。

朝谷:Philippeはフランス出身のアーティストです。彼もKati同様に幾何学的な要素を使って、制作します。彼は母国のフランスをはじめ、ヨーロッパやアメリカなど様々な場所に旅して、その時に感じた、土地や環境によって変わる自らの感情の動きを、抽象的に表すとどうなるかというテーマで作品を作っています。

※ArtScouterの Philippe Halaburdaさん 登録作品 一覧

司会:最後に、Molly Hermanさんについてお願いします。

朝谷:彼女の作品に特徴的なのは、効果的に配色されたおおらかで温かい色彩です。彼女はニューヨークの名門アートスクールParsons出身なのですが、現在はParsonsで教諭としてカラーコーディネーションについての授業を担当しています。

彼女は、若い時にフランスの果樹園で働いていたことがあって、その時の原体験がペインティングの色使いに大きく影響を与えています。ちなみに、『Still Alice』(邦題:『アリスのままで』)というハリウッド映画でも、バックグラウンドで彼女の作品が使われています。

※ArtScouterの Molly Hermanさん 登録作品 一覧

司会:ありがとうございました。ちなみに、NYと東京の物理的な距離もありますので、残念ながらArtScouterではCurinaさんの作品をレンタルすることはできません。購入限定とさせて頂いています。その代わり、非常にお求めやすい価格帯の作品を揃えていますので、ぜひご検討頂ければと思います。

朝谷:そうですね。ぜひよろしくお願い致します。

司会:今日は長時間にわたって、興味深いお話をありがとうございました。

朝谷:ありがとうございました。

ArtScouterは、今後もアートに興味があるビジネスパーソンがアートに対する様々な知見を深めることができる機会として「The Art Club」を開催させて頂く予定です。その他のイベント情報も合わせて、TwitterFacebookにて発信しておりますので是非ご確認ください。

ArtScouterが取り扱っているCurina登録アーティストの作品を見たい、または価格を確認したい場合はこちらまでお問い合わせください。

文  かるび

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