社名の由来やオフィスのコンセプトをアートを通じて伝えたい
−株式会社フォトシンス 河瀬航大
2020.03.24

株式会社フォトシンス 代表取締役社長 CEO 河瀬航大氏
1988年、鹿児島生まれ。2011年、筑波大学理工学群卒業後、株式会社ガイアックスに入社。ソーシャルメディアの分析・マーケティングを行う。2013年にはネット選挙の事業責任者として、多数のTV出演・講演活動を行う。「facebook 知りたいことがズバッとわかる本(翔泳社)」執筆。2014年、株式会社フォトシンスを創業、代表取締役社長に就任し、スマートロックAkerunを主軸としたIoT事業を手掛ける。経産省が所管するNEDO公認SUI第1号として、15億円を調達するなど、IoTベンチャーの経営を担う注目の若手起業家。Forbes主催、Forbs 30 under 30 asia 2017にて、アジアを代表する人材として「ConsumerTechnology」部門に選出。筑波大学非常勤講師。

―御社のサービスについて、読者に対して紹介をしていただけますか。
当社は「Akerun」というクラウド型入退室管理システムを提供している会社です。
既存の扉のサムターンというつまみに後から貼り付けるだけで、鍵をインターネットで制御することができるのが最大の特徴です。
―プロダクトは「Akerun」で、会社名は「フォトシンス」ですよね。それぞれ、どういう経緯で会社名とブランド名が決まったのですか?
会社名とプロダクト名を分けた理由は、フォトシンス自体がAkerun以外のプロダクトをどんどん作っていきたいという思いがあったからなんです。
ソニーというプロダクトはないし、アップル、トヨタというプロダクトもないように、プロダクト名と会社名を分けるのはメーカーなら普通なので、会社名とプロダクト名は明確に分けました。
フォトシンスという会社名は、「光合成」の英単語から由来しています。小学校の理科で習うように、光合成は、二酸化炭素と水という「無機物」から「有機物」を創り出していく機構です。
無機的なもの同士の価値をつなげていくことによって、有機的な価値あるものを生み出せる、光合成のような役割を担っていける会社にしていきたいと願って光合成という名前から引っ張ってきました。

―ArtScouterを利用してみようと思われた経緯を教えていただけますか?
私は会社のミッションやビジョンを浸透させるために、オフィスづくりに非常に力を入れています。
オフィスは、一度作ってしまえばなかなか変えられないという点で、いわば会社にとってのハードウェアの部分なんです。
オフィスをどれだけしっかり作れるかが、ミッションとかビジョンの浸透や、デザインとかブランドの構築に大きく影響してきますから、凄くこだわりをもってやっています。
絵をオフィスに置くことは、会社のビジョンやミッションを体現するために大きく寄与するだろうと考えていましたが、どこからどのように絵を選べばいいか今ひとつわからないところがありました。
そこで今回知り合いからArtScouterを紹介して頂くことができたので、良いサービスだと思って使わせていただきました。
―オフィスにアート作品があると、どんな効果があるとお考えですか。
アートには、遊び心をくすぐる効果があるんじゃないかなと思っています。
「Akerun」というプロダクト自体も、スマートフォンで鍵が開いたら凄く格好いいよねという、ちょっとした遊び心が開発のきっかけでした。
だから、僕らのプロダクト作りで心がけているのは、機能だけでなくプラスαとなる遊び心が入ったような、型にとらわれない自由な発想を取り入れることなんですね。
こういう商品って純粋に安全安心だけのセキュリティだけじゃなくて、そこにどれだけ価値を足していけるかが勝負だと思うんです。
たとえば、「Akerun」を購入したお客さんに、ワクワクしながらハコを開けて頂けるようにプロダクトデザインを突き詰めたりするのも大事だと思いますね。

-購入作品を選定する際は、ArtScouterをどのように活用されましたか?
最初に「クール」や「エレガント」といったキーワードで検索してみてから、次にアーティスト毎に作品リストをチェックするという両軸で見ていきました。
それなりに高い買い物ですので、慎重に色々見てみたいですよね。結果的にAIがリコメンドした作品と、一覧から僕が選んだ作品が近かったので、納得して購入することができました。
―本作を購入された理由や決め手となった要素を教えていただけますか?
気に入った絵に出会えたらいいなという、ふわっとしたところから入っていきました。
その中で、ArtScouterでレコメンドされて、かつ一覧の中でピッと目をひくものが高見澤 文雄さんの「波の網、網の波」という油彩の作品でした。フォトシンスの会社のロゴカラーである「緑」や、Akerunのロゴカラーである「青」が両方使われており、凄くいいなと思いましたね。
また、線でつながりあったような、まさに葉脈をイメージさせるような絵柄も、一枚の葉っぱをイメージして作り込まれた僕らのオフィスと親和性が高いと感じました。
そのオフィスをうまく一枚にまとめた葉っぱのような、しかも “つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む”という僕らの会社をうまく表現した絵になっているんです。
まさにフォトシンスを表した素晴らしい絵だと思いまして。予算は少しオーバーしていたんですが、これは買わないといけないね、って意気投合して3秒くらいで購入を決めました(笑)

―作品を設置されての感想はいかがでしょうか?社員さんからの反応などもありましたか?
毎回絵を見るたびに会社の理念を見ているような、初心に戻った気持ちになれる絵だなと思っています。
伝統的な会社のように、墨で箇条書きにしてミッション・ビジョンを張り出すのではなく、そういったものを「絵」で直感的に表現するのって凄くセクシーだと思うんです。
説明的じゃないほうがいいと思うんですよね。興味がある人にのみ情報が与えられるという、ある種美術館みたいなほうが美しいですよね。
―今後はどんなアート作品を導入していきたいとお考えですか?
次は立体を置きたいですね。最近は、僕らの会社も含め、ベンチャー企業などでオフィス内装に数千万円規模でしっかりとお金をかける会社が増えてきていると思うんです。
アート作品って、高い買い物ではありますが、それでも数十万~数百万程度ですよね。全体の中からすると一部でしかないと思うんです。
でも、記憶に残りやすいですし、会社の価値観を直感的に伝えるという意味では、意外と安い投資なのではないかと考えています。だから、もうちょっと利益が出たら、今後はより記憶に残りやすい立体作品を集めていきたいなと思っています。
[インタビュー先]
株式会社フォトシンス
東京都港区芝5-29-11 G-BASE田町15階
文 かるび/写真 安藤毅

