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ワークショップ導入の決め手とは?アートが “触媒”となるコミュニケーション
-ネスレ日本株式会社 生産本部飲料システム部

©︎simo「hata1」

ネスレ日本株式会社
(左)生産本部飲料システム部 部長 高松大地様
(右)生産本部飲料システム部デザインエンジニア 三輪健太郎様

チームビルディングや組織ビジョンの浸透を目的とした、アート作品を研修プログラムに組み込んだユニークなWeb完結型のワークショップ「ArtScouterワークショップ」が好評です。

*ArtScouterワークショップの詳細資料や体験会のお知らせはこちらからお問い合わせをお願いします。


今回ご紹介するのは、世界最大の売上高を誇る食品飲料メーカー・ネスレの日本法人である、ネスレ日本株式会社におけるチームビルディングでご活用頂いた事例です。2020年8月、同社生産本部飲料システム部から6名の方に「ArtScouterワークショップ」にご参加いただき、研修終了後、ワークショップ参加者全員で選んだ1枚の絵画作品(simo「hata1」)をお届けしました。

ワークショップを社内提案頂いた三輪健太郎様(デザインエンジニア)及び、その上長である高松大地様(部長)にインタビューさせて頂き、ワークショップ修了後の成果や感想についてお伺いしました。

―まずは、ネスレ日本様が「ArtScouterワークショップ」にご興味を持たれたきっかけを教えて頂けますか?

三輪:最初は、Facebook広告経由でArtScouter主催のWebトークイベント「The Art Club Vol.06」のイベントに参加した際に、ArtScouterを知ったのがきっかけでしたね。

参考記事:The Art Club Vol.06『アート思考』『直島誕生』の著書秋元雄史とよみとく、アートとビジネスの関係とは?

―トークイベントでは、どのあたりに一番ご興味を持たれましたか?

三輪:私達の目標として、日本初となるような商品開発を手掛けていきたいという思いがあります。そのためには、個人レベルではなくチーム全体で良いアイデアを出したり、問題解決を図ったりする必要があります。

参加させて頂いたトークイベント内で、『善悪を判断する際と、アートを見た時に美しさを感じる脳の部位は同じだ』『これからの会社組織は、社会に対して如何に好影響を与えられるかが鍵となる』といった秋元雄史さんの話に説得力を感じました。そこで、「この人達はもしかしたら凄く面白いことをやっているのかもしれない」と直感的に感じましたね(笑)。

当インタビューはウェブ会議システムにて実施しました。

―「ArtScouterワークショップ」についてご検討頂いた時、社内の関係者にはどのようにご説明頂いただいたかをお聞かせ頂けますでしょうか。

高松:実は、私は普段から美術館に行くこともありませんし、当初アートにはそれほど関心がありませんでした。アートの力でチームビルディングをする、と言われてもあまりピンと来なかったのが実情です。

そもそも、会社のビジョンは皆知っていて浸透しているから十分だろうという思い込みがあったかもしれません。

しかし、三輪さんから説明を受けて、アート作品が各チームメンバーの心の内側にあるビジョンに対するイメージを統一するために有効である、という考え方は面白いのではないかと思うようになりました。たしかに、チームとしてのビジョンの共有まではできていなかったのですね。

共通のキーワードなどを掲げて一つのチームでビジョンを共有する時、そのビジョンはまず「イメージ」として各メンバーが心の中に抱くはずですが、そのビジョンが正確に共有されているかどうかはわかりません。そこで、アートが使えるのでは?という提案は心に残りましたね。

©︎simo「hata1」

―最終的に、実施のご決断を頂いた理由を教えて頂けますでしょうか。

高松:アートの持つ「触媒」効果のようなものに期待しました。「アートを介してビジョンや理念を掘り下げる」というアプローチには十分試す価値があると感じました。

結果として、みんなの見方がこれほど違うのだ、ということを知ることができたのは私にとって非常に大きな学びになりましたね。

―参加メンバーの6名は、どのようにしてご選定されましたか?

三輪:シンプルに、私達のチームユニットが6名なので全員が参加しました。私のような会社への在籍年数が約3年と一番短い社員から、在籍30年を超えるベテラン社員まで、バラエティに富んだ参加者構成だったことは良かったですね。

―今回の「ArtScouterワークショップ」で得られた成果を教えて頂けますか?

高松:チームビルディングの土台部分を固めることができましたね。今、コロナでこれだけ世の中が大変な状況であっても、しっかり自分たちのバリューを作っていこうという共通の信念みたいなものを固めることができました。

自分たちの今の目標やビジョンを象徴する1枚の絵を選び出すことで、それに対するメンバー全員の気持ちを部署として共有できた、という実感はあります。

三輪:私は中途入社でまだキャリアは満3年程度なのですが、アートを目の前に率直に思いを語り合うことで、“ネスレ愛”ともいうべき、先輩社員達の会社に対する愛情の深さを実感できたことが収穫でした。会社に長く在籍されている方は、「私達ネスレとはどういう会社なのか」ということをものすごく腹落ちされています。

チームとして一つのビジョンを作り上げる際に、会社やブランドに対して抱いている強い愛着心をビジョンの中に入れていくという点で、今回の研修は非常に役立ちましたね。

また、先輩方の会社愛を感じることで、私自身も会社への愛着が深まったかなという気がしています。そうした気持ちの持ち方に微妙な変化がもたらされたことで、日々の仕事の進め方や、コミュニケーションの取り方に好影響が出ていると感じます。

―ワークショップの最後に各参加者からのプレゼンテーションの時間がありました。それを聞かれて、高松様はどのように感じられましたか?

高松:さきほども「触媒」という言葉で表現させて頂きましたが、アートという、いわばふわっとしたコンセプトのものを見ながら物事を深く考えるというプロセスでは、普段の左脳的な脳の使い方とは少し違う、クリエイティビティにつながる部位の脳みそを使っているのだな、と感じましたね。また、アートを見て話すと、人の本音に触れやすくなる効果もあるのではないかと感じました。

―そうですね。ビジョンに合わせて、抽象画を選ぶ人もいれば、風景画を選ぶ人もいるように、1枚の絵に対する内面のイメージの投射のさせ方には個人の価値観が出ます。そこで、参加メンバー同士で驚いて、「そういう作品が好きだったのですね」といったように相互理解へとつながるような話に発展していくというのはワークショップでもよく見られる光景ですね。

高松:最近の企業研修のプログラムでは、社員の行動を変えるためのアプローチは非常に多様化しています。ただ研修だけで行動変容を導き出すのは限界があると思います。

そういった意味で「ArtScouterワークショップ」が社員の行動変容に直結するとは言い切れないかもしれませんが、その行動のベースになる社員同士の相互理解を深める、という意味ではアートを触媒とすることの意味を十分に理解できたと感じています。

チームを作り上げる時、「お互いを知りましょう・・・」とはよく言われますが、ビジョンを共有するのは非常に難しいと感じます。私達は意外とわかりあえているわけではないんです。 私も当社で勤続20年以上になりますが、社内には未だに知らない人も大勢いますから。アートを目の前に、趣味・嗜好や考え方をお互い吐露しあう良いきっかけ作りになりますよね。

―アートには正解も間違いもありませんからね。ワークショップの過程でどれを選んでいただいても間違いはないんです。もっとも、現在600作品以上が登録されているArtScouterのデータベースは、全て専門家によって厳しく精査された作品で構成されていますので、安心して選んでいただけます。

高松:なるほど。

―ワークショップ修了後、アート作品をお届けさせて頂きました。部署の方の反応や感想はいかがでしょうか?

高松:搬入されたアート作品は、初期的にはワークショップで作品に紐づけた意味や感覚を思い出すきっかけになりました。その後も玄関や会議室など目立つ場所に置いておくことで、他部署のメンバーから「これは何?」と説明を求められますから、私達の想いを “expose”する役割も1枚の絵が担ってくれていると実感しています。

©︎simo「hata1」

―自分たちへのリマインドという意味では、意識的に外部に目に付く場所に飾っておくことで、他の人達に関心を持ってもらえて、その意味を説明する機会になるということですね。

高松:もし私が仮に違うチームに配属されて「あれっ?何だこのチームは?!」となった時は、すぐに御社に電話をすると思います(笑)。チームメンバーが何を考えているのかわからない、という時に効果がありそうです。

―ありがとうございます。今、やはりお声がけを頂いている中で多い事例も、内定者研修や新チームのキックオフ研修といった、お互いを知らないメンバー同士が初めて集まるタイミングです。ビジョンや目的を浸透させながらみんなの意見をヒアリングしたい、というニーズが多くなっています。

高松:逆に私から一つ質問があります。現在のようなコロナ禍におけるチームのあり方として、世の中の主流は、お互いのコミュニケーション密度を上げて組織へのエンゲージメントを高めていこうとする「メンバーシップ型」から、与えられたタスクを各メンバーがしっかりこなしていくことを重視する「タスク型(ジョブ型)」へと変化しつつありますよね。その中で、一見世の中の流れとは逆行しているようにも解釈できる「ArtScouterワークショップ」の方向性については、どうお考えですか?

―高松様がご指摘されている通り、全社レベルでのリモートワークの導入など「タスク型(ジョブ型)」へと急激にシフトすることを求められている企業は非常に多くなっています。しかし、こうしたタスク型組織への急激な移行に伴い、コミュニケーションの減少や組織へのエンゲージメント低下という課題もまた浮き彫りになってきています。ですから、私達ArtScouterでは、こうしたタスク型組織が主流になりつつある企業様こそ、お互いのことをわかりあうための機会や工夫がより重要になってくるのではないかと考えています。

高松:なるほど、よく理解できました。

―今日は長時間、ありがとうございました。

高松・三輪:ありがとうございました。

©︎simo「hata1」

私達ArtScouterはこうしたお客様からのフィードバックを活かしながら、これからもワークショップのプログラムを日々改善させていきます。今後も当サイトでは、ワークショップの詳細事例や関連したイベント情報などをお伝えしていきます。進化を続ける「ArtScouterワークショップ」にぜひご期待下さい。

*ArtScouterワークショップの詳細資料や体験会のお知らせはこちらからお問い合わせをお願いします。

文 かるび / 写真 吉村 洋史

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