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アートをビジネスに取り入れる際の5つの分類方法

2019.12.25

アートとビジネスの関係に注目が集まり、ロジカルシンキング、デザイン思考に続いてアート思考という言葉がブームとなっています。ビジネス書コーナーには毎月のようにビジネスパーソンがアートから学ぶことをテーマとする著書が発売されています。

一方で、中にはアートとビジネスを結び付けるのは無粋だという考えの方もいます。東京芸術大学大学美術館長の秋元雄史さんは著書『アート思考』の最初のページで「どんな角度から考えても、「アートとビジネスは全く異なる」。これが正直な感想です。」と言い切った上でアートとビジネスの接点について語っておられます。

しかし、実際にアートと関りの深い企業へインタビューを重ねていくうちに、企業及び経営者によるアートの活用は確実に存在していることがわかってきました。これまで多くのインタビューを通じて、「ビジネスにアートを取り入れる」ということは、次の5つに分類できそうです。

<ビジネスにアートを取り入れる5分類>
①アートの価値そのものの活用
 例:資産として所有するアートの値上がりやコレクションの楽しみ
②アートを通じた関係性の活用
 例:アートを媒介としたハイエンドな文化人脈やアーティストとの繋がり
③アートの商業利用
 例:商品デザインへのアート活用。百貨店などでの美術展による集客
④アートの社内活用
 例:アートによる創造性の触発や癒し。絵を通じてビジョンを浸透させる
⑤アートの社外発信活用
 例:CSR、メセナ。応接室での権威ある作品

この5分類については、もちろんすべてをすっぱりと分類できるわけではなく、例えばアートの商業利用(③)がCSR活動(⑤)と重複することもあります。また、社内のクリエイティビティの触発(④)でオフィス内にアートを導入しつつ、アートを取り入れたクリエイティブなオフィスだということが、採用のためのメッセージ(⑤)になっている場合もあります。

ただ、最近のアートブームの中で、「ビジネスにアートを取り入れたい」と言い出した時、一番の目的が何であるかを明確にしておく必要がありそうです。

なぜアート導入の5分類を意識する必要があるのか

例えば、オフィスにアートを取り入れて社員に創造性を触発させたい(④の文脈)という狙いがあったにも関わらず、気が付けば決裁権者から「その作家、作品は将来値上がりしそうなのか?(①の文脈)」といった詰問を受けてしまうようなことがあります。

もちろん、どうせ買うなら値上がりしそうな作品に越したことはないですが、資産性を目的としてアートを購入するのであれば、視点も予算も異なってきます。アートを通じて創造性を触発させることを目的としていて、予算に限りがあるならば、購入する作品が将来値上がりするかどうかは副次的な楽しみにしておくのがよいでしょう。

ただでさえアートを選ぶのは難しいのです。特に大勢の方が加わってアートを選定し始めるとなかなか意思決定ができません。そこで、アートをビジネスに取り入れる目的を明確にしておくことで、選定する作品や予算をある程度絞り込むことができると思います。

オフィスにアートを取り入れる難しさ

アートの5分類で見たようにビジネスにアートを取り入れる時の目的を明確にしておくということのほかに、思わぬトラップもあるので注意が必要です。

最近のビジネスとアートの文脈では、アートは多様性の象徴のように取り扱われることが多いですが、その一方で”いわゆるアート筋”の人たちの間ではタブーとされるアート作品もあり、見た目の好き嫌いだけでなんとなく選ぶと、妙な噂が出回ってしまうということもあるようです。

もちろん、個人宅で楽しむ分には好きな作品を選ぶだけでよいでしょう。しかし、企業メッセージを込めて対外的に発信するようなときは、アート業界に潜むタブーにも注意を払う必要があります。

やはり、ビジネスにアートを取り入れる場合は、専門家のアドバイスを受けるか、アート業界で一定の評価を得ているギャラリーに所属するアート作品を選定するのが安心です。

以上でみてきたように、ビジネスにアートを取り入れるといっても、どのような目的があり、その目的に合わせてどのような作品を選ぶかというのは重要なポイントです。

ART HOURSでは専門家のインタビューを通じて最新の情報をアップデートしていきます。また、すべての記事を網羅できないけれど、アートの導入に興味があるという方にむけて、記事の内容をまとめた「アート導入最新事例」をご提供しています。

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