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コロナにも負けず大盛況!
アートフェア東京2021総括レポート

コロナ禍による影響から、2年ぶりの開催となったアートフェア東京2021。東京都心で多くの人が集まる大規模な展示会であることから、2021年度もその開催可否が心配されていましたが、厳重な対策が取られた上、無事に開催されることになりました。

ART HOURSでも、提携する国内の有力なギャラリーが多数参加する、国内最大規模のアートフェアとして知られる本展に注目。直前には、「いよいよアートフェア東京2021が開幕! 事前の楽しみ方や魅力を紹介します!」というタイトルで、見どころや楽しみ方を解説する記事をリリースしています。

数字で振り返る「アートフェア東京2021」

それでは、まず数字で2021年度のアートフェア東京を振り返ってみましょう。

今回は、無料入場が可能なB1Fの「ロビーギャラリー」、有料ゾーンのB2F「Exhibition Area」を含め全140件のギャラリーが出展。18日に開催されたプレス内覧会には合計264名の記者が参加しました。春・秋に開催される都心のブロックバスター美術展展並みの参加者数です。緊急事態宣言下中の開催となったにもかかわらず、非常に旺盛な取材意欲が伺え、各メディアからの注目度も非常に高かったようです。

来場者の総数は、速報値で40,963名。約6万名超を集めた2019年度に比べると30%強の減少ですが、

・コロナ禍における開催であったこと
・営業時間の短縮措置
・分散入場を促すための事前予約制の導入
・大幅な入場料値上げ

等々の各条件を考慮に入れると、この数字は大健闘だったといってよいのではないでしょうか。

それでは、代表的な展示を見ていきましょう。

有料ゾーン:B2F「Exhibition Area」

約140ギャラリーのうち、大半のブースは地下2Fの有料ゾーンに出展。就職フェアのように、間仕切りでブースが区切られ、その中で各ギャラリーの作品展示や商談スペースが置かれました。

来場者が入場するには、事前に指定されたチケット販売サイトでオンラインチケットを購入する必要がありました。

展示は、会場入口近くの巨大なインスタレーション作品を筆頭に、現代アートの存在感が目立ちます。

「夢工房」ブースより、四代田辺竹雲斎作品。チューブ状に編み上げた竹工芸が、ヘビのようにとぐろを巻くダイナミックな造形が圧巻。

「アートフェア東京」は、国際的なアートフェアの中でも、日本画や洋画、陶芸などのいわゆる「古美術」分野での出品比率が非常に高いのが特徴です。

しかし、「アートフェア東京2021」では、現代アート比率が50%以上に上昇。特に、海外アーティスト作品は例年より少なかった分、日本人の若手作家の存在感が目立ちました。

「ZEAL HOUSE」ブースの展示風景
「NODA CONTEMPORARY」ブースより、上野英里作品
「アートフロントギャラリー」ブースより川俣正作品
「ShugoArts」ブースより、近藤亜樹「Aki KONDO HOUSE」
「ぎゃらりぃ秋華洞」ブースより、池永康晟作品。現代美人画の第一人者、池永氏の作品は抽選での購入となっていました。
「黒田陶苑」ブースより、吉田佐和子作品。高度な修練を必要とする「練り込み」技法を駆使して、緻密かつ可愛い動物のオブジェを手掛ける人気作家。非常に高額でしたが、抽選での購入となっていました。

また、ArtScouterが提携している国内のトップギャラリーも数多く参加。

「日動コンテンポラリーアート」ブースから、今西真也作品。彫刻と絵画の境界線にあるような、非常に面白い作品。絵画の凹凸により生み出された複雑な陰影が独自の質感を生んでいます。
「東京画廊+BTAP」ブースより、松浦浩之作品。

もちろん、現代アート以外の分野でも、浮世絵や細密工芸、茶道具など、東洋美術や古美術の名品が数多く出品されていました。

「宝満堂」ブースより、帝室技芸員に任命された、明治時代の巨匠・海野勝珉の金工作品。宮内庁三の丸肖像館や東京国立博物館などでよく見かけますが、アートマーケットでも普通に流通していることを知る人は少ないのだといいます。

こちらは、2020年のアートフェア東京にも出展予定だったクロード・モネ「牧草地、曇り空」が登場。

「みぞえ画廊」ブースより、クロード・モネ「 牧草地、曇り空」 受難の時代を終え、ジヴェルニーに腰を落ち着けていよいよ連作シリーズへと着手する直前、モネ40代後半の充実期に描かれた作品。花畑の奥に描かれたポプラ並木が、朝日を浴びて青白く光る一瞬を伸びやかな筆致で捉えた逸品です。

このように、現代アート一辺倒ではない懐の広さが、「アートフェア東京」が毎年より多くの人々を引きつける原動力になっているのかもしれません。

アメリカ、イギリス、中国といったアートコレクター大国に比べると、アート市場の総取引高はまだまだ小さいかもしれませんが、市場に溢れる多様性に着目するならば、諸外国に引けを取っておらず、新たにアートファンを引きつける間口は相当広いと考えられます。

ともすると、今回のコロナ禍をきっかけに、アートの価値が見直されることがあるならば、市場の伸びしろはかなり高いのではないか…。100以上のブースを見て回りながらそのような感想を懐きました。

期待の若手アーティストを特集した「Future Artists Tokyo」

また、地下2Fでは、2018年から継続して行われてきた、将来有望な若手作家を特集した「Future Artists Tokyo」という展覧会も同時開催されていました。

3回目となる今年度のテーマは「Volcano Festival」。マグマのように蓄えたエネルギーが一挙に噴出し、世界の至るところに熱をもったアートが届く祝祭をイメージしています。入口前に設置された真紅の展覧会看板が印象的です。コロナ禍で制作機会や発表の場を失い、秘めた情熱を一気に叩きつけるようなイメージでしょうか。

例年、同展では全国各地の有力な若手作家をフィーチャーしてきましたが、今年度は様々な事情から、東京藝術大学出身の25名の若手アーティストを選出。美大の最高峰ゆかりのアーティストが、どのような作品を見せてくれるのでしょうか。

それでは、早速作品を見てみましょう。

チカトイズ「ASTROBTS THE CITY」
佐野圭亮「揺れ動く知性」
大島利佳さんの作品群
野田怜眞「Vanana 刺」

木彫、金工、漆芸、ガラスなど、多岐に渡る素材を扱った各工芸分野が非常に充実。コンセプト以前に、どの作品もしっかりとした技術に裏打ちされた作品が多いのが藝大ならではの特徴といえそうです。

藝大出身者の中でも、特に厳選された将来を嘱望される作家陣による作品は、視覚的な美しさと作家の思いがバランスよく体現された傑作揃いでした。

無料で楽しめるエリア「ロビーギャラリー」も大盛況!

最後に、B1Fの「ロビーギャラリー」を見ていきましょう。こちらは、チケットを購入しなくても入場が可能な無料開放ゾーン。

B1Fロビーギャラリーエリア単独では、延べ17,725人の入場者数を記録。週末開催だったことも重なり、たまたま有楽町の地下街を移動中にふらりと立ち寄った来場者も多かったのではないでしょうか。

さて、こちらの「ロビーギャラリー」では、地下2Fに比べると、より現代アート比率が高い印象。グラフィティアートやアニメ/マンガなどサブカルチャーと融合したような、若いアートファンに刺さりそうな先鋭的なアート作品も目立ちました。

「SEIBU・SOGO」ブースより、The London Policeの作品
Takashi Somemiya Gallery」ブースより、午居悟作品。速乾性に優れた工業用シリコンで描かれた抽象作品は、油彩とは一味違う質感が楽しめました。
「GALLERY TOMO」ブースより近藤大祐作品。赤・黄・青など、色数が絞り込まれれ、版画的な味わいもある近藤さんの絵画は、なんと絵筆ではなく注射器を使って描かれています。
「古美術鐘ヶ江 」ブースより、織田隼生「二層銀色乱咲」。江戸~明治に花開いた細密工芸のDNAを受け継ぐ、超絶技巧系作品。

アートフェア2022の開催日程も決定。見逃した方へのオンラインバーチャル展示も!

2021年度は、様々な事情から今年のアートフェアに足を運べなかった方も多いかも知れません。そんな方のために、オンラインのバーチャル空間でアートフェアが楽しめる「Art Scope」が公開されました。

https://artfairtokyo.com/#vrartscope

没入感の感じられるインターフェースに仕上がっており、会場を練り歩きながら作品を見て回っている気分を味わえます。フェア終了後も、引き続き見られるようになっています。

また、5月13日(木)~16日(日)には、大阪にて「art stage OSAKA 2021」 が開催。こちらも、関西圏では最大規模のアートフェアの一つとして注目されていますね。

そして、次年度の「アートフェア東京2022」も開催が決定。日程も合わせて発表されました。今年度同様、桜の季節よりもちょっと早い、2022年3月10日(木)~3月13日(日)の4日間となります。

これまでになく現代アート市場が活性化しつつある日本のアートマーケットの先行きを占うという意味でも、今後もますます目が離せないアートイベントになりそうですね。

写真・文 かるび

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