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アートファン必見!
今、Amazon Primeで見られる最新のオススメアート映画10選!

首都圏・関西圏を中心に緊急事態宣言が再発令されてから約2週間が経過しました。前回に比べると昼間の人出はそれほど減ってはいないようですが、夜になると街を出歩く人々の姿は一気に減少。みな、一様に帰宅してそれぞれのおうち時間を過ごしているようです。

そこで長引く自宅生活の強力なお供になるのが、映画やTV番組などの動画配信サイトです。この機会に、TVアニメ「鬼滅の刃」などをAmazon Primeで一気見した…といった話もよく聞きますよね。

さて、動画配信サービスのシェアを見てみると、世界ではNetflixが首位を独走中ですが、日本に限定してみると、NetflixよりAmazon Primeのほうがよく利用されています。やはり、月額ワンコイン以下で楽しめるのは大きいですよね。

ART HOURSでは前回の記事で「NETFLIXでのお薦めアート映画10選」をご紹介しましたが、今回は第2弾として「Amazon Primeで楽しめるお薦めのアート映画」を10作品選んでお届けいたします。

それでは、さっそく見ていきましょう。

おすすめ作品1:「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 」

ルネサンス期から20世紀初頭までの傑作だけを厳選して収集し、世界最高峰の西洋絵画コレクションで知られるロンドン・ナショナル・ギャラリー。そんな西洋絵画の美の殿堂をじっくり取材し、約3時間のロングドキュメンタリーにまとめ上げたのが本作「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 」です。

本作が素晴らしいのは、単なる美術館ガイド的な内容ではなく、美術館に関係する「人」の活動に焦点を当て、じっくりと掘り下げて紹介している点です。

展示室の日常風景やワークショップやギャラリートークといった各種教育プログラムはもちろん、企画展の準備風景、職員同士が丁々発止の激論を交わすミーティング、絵画作品の修復工房まで、普段アートファンがなかなか見られないような美術館の舞台裏にもしっかりと焦点が当てられていました。

もちろん、同館の至宝群もさりげない形で次々と登場。 同館の日常風景を映し出す中で、ダ・ヴィンチの至宝「岩窟の聖母」をはじめ、ティツィアーノ、レンブラント、フェルメール、ルーベンス、クロード・ロラン、プッサン、ターナー、ゴッホ、セザンヌといった、各時代を代表する巨匠たちのきらびやかな傑作群が楽しめます。

政府からの助成金減少への対応や商業主義とのバランスをどう取っていくかなど数多くの運営上の課題を抱えつつも、総じて非常に士気が高く、開かれた美術館を作り上げようとする各スタッフの強い意思が感じられるドキュメンタリーでした。

約3時間と長尺な作品ですが、「少しずつ、いつでも見られる」という配信ならではのメリットを活かして、少しずつ好きなところから見ていってもいいですね。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B013TY1R3M

おすすめ作品2:「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」

覆面アーティスト・バンクシーの初監督映画作品にして、 数々の映画賞を総なめした話題作です。特に、2010年度のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞部門にノミネートされたことには驚いた人も多かったようです。

さて、本作で主人公として取り上げられるのはバンクシーではありません。作品内では、バンクシーも重要人物として登場しますが、主役はティエリー・グエッタという無名の映像作家。

ティエリーは、世界各国の様々なストリート・アーティストの活動をゲリラ的な手法で映像へと残すことをライフワークとしていました。彼は、活動を続ける中でついにバンクシーとも対面を果たし、交流を重ねる中で信頼を得てバンクシーの記録映画を作ろうとします。

しかし、ティエリーには映画作品を作るセンスが致命的に欠けていました。そこで代わりにバンクシーがメガホンを取ることになった…というのが本作の制作経緯。

そして、バンクシーにはストリートアートを生み出す才能だけでなく、最高に面白いドキュメンタリー映画を作る才能もあったのです!

彼は自作自演のドキュメンタリーを体裁よくまとめるのではなく、「バンクシーの作品を撮ろうとした男」としてティエリーを主演に据えたドキュメンタリー映画を作ろうとします。このアプローチが非常に秀逸でした。

物語の主役となったティエリーは、これで自信を得たのか、アーティストを追いかける立場から一転して、今度は自らがグラフィティアーティスト「Mr Brainwash」になってストリートで活動をはじめます。さらに調子づいた彼は、新人としては無謀にも思えるような、大規模な個展開催を企画。ガラクタにしか見えないような作品群や、いきあたりばったりでノープランな展示企画など、全てがカオスの中、個展の準備が進行していきますが・・・。(ここからは映画をご覧ください)

物語前半でティエリーがストリートアーティストのレジェンドたちを追いかける映像は非常にスリルがありますし、ドンキホーテ的な恐れを知らない突進力、挙動不審な立ち振舞いなどキャラクターの魅力も立っています。

奇想天外で予想もつかないスリリングなストーリー構成が素晴らしいだけでなく、お金と権威で固められた現代アート業界への強烈なカウンターパンチとなった問題作です。見終わったあと、アート作品の価値って一体何なのだろう・・・?と思わず考え込んでしまいました。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MTJE69E

おすすめ作品3:「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」

近年、フランス映画では、ゴッホをはじめとして、ルノワール、セザンヌ、ベルト・モリゾなど印象派世代の画家の本格的な伝記映画が次々にリリースされています。そんな中、今度はロダンの半生を振り返る作品も登場しました。

ロダンのアトリエは、著名人のモデルや世界各国から入門した弟子など様々な人々が出入りしていたことで知られます。そして、ロダンもまた、同世代のアーティスト同様、自分の身の回りに近づいてくる異性たちと派手な女性関係を繰り広げました。

そんなロダンと特に関係が深かったのが、美しく才能にあふれた一番弟子カミーユ・クローデルです。彼には、ローズという彼を長年支え続けた内縁の妻がいましたが、アトリエ内には彼とカミーユしかいません。必然的に、カミーユとロダンはすぐに公然の恋愛関係へと発展します。

当然ながら、女2人とロダンの三角関係は泥沼化。カミーユ・クローデルの代表作「ワルツ」のようにくっついたり離れたりしながら、最終的に二人の関係は破綻に向かいます。ロダンはローズの元へと帰っていき、精神的に追い詰められたカミーユは統合失調症を発症してしまいます。

世間からのプレッシャー、人間関係のしがらみなど様々な苦悩を抱えながらも傑作を生み出していったロダンは、師弟関係を利用してカミーユを性的にも才能的にも搾取し、その後も現代の感覚では許されないような女性関係を続けるなど、だらしない一面も持ち合わせていました。本作は、そうした彼の両面を清濁併せのむ形で淡々と表現していきます。

また、本作ではロダンについての有名なエピソードが非常に多く挿入されています。 「カレーの市民」「地獄の門」「バルザック記念像」といったロダンの有名な作品群はもちろん、フランス近代美術史上での著名人が多数登場するのはアートファンにとっては嬉しいところでしょう。

たとえば、彼の弟子ではヒルダ・フルディーン、 グウェンドレン・メアリー・ジョン、フランソワ・ポンポン、批評家ではオクターヴ・ミルボー、エミール・ゾラ、ライナー・マリア・リルケ、 作家ではクロード・モネ、ポール・セザンヌなど多彩なメンバーが登場。最後に、明治から昭和初期にかけてヨーロッパで活動した日本人ダンサー・太田ひさまで登場したときは、監督の旺盛すぎるサービス精神に絶句しました。

ややエピソードを詰め込みすぎたきらいはありますが、様々な面からロダンについて知ることができる、アートファンには教科書的な作品でした。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B07CRYDBQ3/

おすすめ作品4:「ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ 」

青年期、画家になろうとして挫折したヒトラーには、一つの屈折した大きな夢がありました。それが、総統就任後にぶちあげた世界一の「総統美術館」構想です。ヒトラーの生まれ故郷近くのリンツに、自分好みのクラシカルな西洋美術を展示することで、第三帝国の国威発揚に利用する計画でした。

そのためにヒトラーと彼の腹心ゲーリングが行ったのが、第二次世界大戦における欧州全域での美術品略奪作戦です。終戦までの数年間で、ナチスが強奪した美術品は数十万点に及ぶとされ、その中には西洋美術史に燦然と輝くダ・ヴィンチの「モナ・リザ」やゴッホ「ひまわり」など数々の名作が含まれていました。

終戦後約80年を経た今もなお膨大な数の美術品が行方不明となっていますが、ここに来て、新たな発見が相次ぎ、美術品返還への動きが活発化しています。また、ナチスドイツによる当時の強奪作戦、及びそれを奪回しようとしたアメリカ、そしてそれを横から掠め取ろうとしたソ連など、様々な詳細もわかってきています。

本作は、ナチスドイツによる美術品略奪の全貌及びその顛末について、最新のアップデートを含めるかたちで紹介。作品内では、彼らによって奪われ、売却(あるいは廃棄)された作品が全部で70作品以上登場します。アートが先の大戦の中でどのように利用され、翻弄されてきたのかがよくわかる骨太なドキュメンタリーでした。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZQL4HBY

おすすめ作品5:「赤い風車」

本作「赤い風車」は 、小説『ムーラン・ルージュ』を原作とした、ポスト印象派の画家トゥールーズ・ロートレックの伝記映画です。 1952年に制作された非常にクラシカルな作品ながら、フルカラーで非常に見やすくなっています。

主役として描かれている トゥールーズ・ロートレックは、非常にユニークな経歴の持ち主。貴族トゥールーズ伯の子息として何不自由ない環境に生まれながら、幼少期の不慮の事故によって身体障害者となった彼は、敢えて実家を飛び出し、パリのモンマルトルでボヘミアンな画家生活に身を投じます。

彼が特に好んだ場所が、モンマルトルにある 「ムーラン・ルージュ」 と呼ばれた屋根の赤い風車がトレードマークのキャバレーでした。(現在は観光地として賑わっていますね)ロートレックは毎晩ここに通い詰め、自らの境遇と重ね合わせる形でキャバレーに集う娼婦や踊り子といった下層市民を瑞々しい視点で描いていきます。

身体障害者としての引け目から、好意を寄せてくれた女性に対して素直に心を許せず、アルコールに心身を蝕まれながらも、命を削って傑作を生み出していった不器用なロートレックの生き様にはホロリとさせられます。

また、是非注目していただきたいのが「ムーラン・ルージュ」をはじめとするパリの歓楽街の情景です。画面を通して伝わるダンスホールやパリの街の様相は、当時パリで活躍していた画家たちが見ていた実際の光景にかなり近いと思われ、アートファンには見応え抜群。フランス近代絵画ファンは特に必見です。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B07NR96M66/

おすすめ作品6:「日日是好日」

続いては、茶道をテーマとした邦画をご紹介します。本作「日日是好日」は、学生時代にはじめた茶道教室を起点にして、移り変わる季節の中で、就職、失恋、父の死など様々な人生のイベントを通して一人の女性が成長していく様子を淡々と描いた映画です。公開直前に亡くなった個性派女優・樹木希林の遺作となったことでも話題になりました。

さて、「日日是好日」とタイトルにもある通り、主人公はずーっと20年間もの間、茶道教室で春夏秋冬、暑い日も寒い日も雨の日も雪の日もお茶を点て続けます。

およそ「○○道」と名前のつく芸事は、一つ一つの動作に「型」がきっちり決められており、初心者はまず「型」の習得を通して心身の鍛錬を図っていきますが、茶道もまた本格的に入門しようと考えたら、一挙手一投足全てにおいて決められた動きがあるわけです。

それを理性で「なぜ」「どうして」と捉えるのではなく、まずは慣れて、体に染み込ませて覚えることで、その動作を通して見えてくるものを体感する…という点で茶道の奥深さを感じられる作品でした。

同じことをしているのに、掛け軸、うつわ、茶菓子は毎回必ず違うものが使われるし、天気も気温も違えば、その時に自分が体験している人生の局面も変化し続けるわけです。茶室という同じ場所で同じことをやり続けているからこそ、日々見逃しがちな変化が敏感に感じられる繊細さが身につくのかもしれません。

さて、アートファンにとっては、やはり気になるのは作品内に登場するうつわや水指、掛け軸といった茶道具や茶菓子かもしれません。調べてみたら、イミテーションみたいなものは一切使われておらず、すべて一流のものが使用されているとのこと。表千家の流儀に則った美しい茶道の所作とともに、ぜひ茶室内の茶道具などにも目を配ってみてください。毎シーン全部違っていますから。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B07QYCCT9X

おすすめ作品7:「嘘八百」

冴えない古物商と陶芸家が組んで、楽茶碗の贋物制作で一攫千金を狙うというクライムコメディー映画です。大阪府堺市を舞台とした「ご当地推し映画企画」として地元のバックアップを受けて制作されました。

本作では、諸事情から楽茶碗の贋作作りに手を染めることになった二人が、利休ゆかりの堺市内のスポットを回りながら(ご当地映画ですので)利休の生き様を肌で体感することで、贋作の構想を固めていきます。

最終的に彼らは「緑楽茶碗」という、誰も見たことがない楽茶碗の贋作制作を推し進めることになります。映画内で詳細に描かれる一連のプロセスが、16世紀後半に利休と長次郎が彼らの理想を体現する「黒楽茶碗」を生み出した過程にもダブって見えてくるようで、時空を越えて情熱がシンクロしていくような描写は見事でした。

また、素人にとって非常に敷居の高そうな古美術の世界を面白おかしく覗くことができるのも本作の魅力の一つ。一説には、市場で流通している約4割の作品が贋作であると言われます。古美術・骨董品の世界では真贋鑑定は難しいのです。 プロ同士の駆け引きでは、欲をかいて冷静さを欠いた方が負けるという、一種ギャンブルにも似たスリリングな展開などは見ていて非常に興味深いものがありました。

お正月映画らしく、おおらかに笑って楽しめる作品ですが、随所にアートファンの琴線に触れる描写があるのでおすすめです。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B07DYF192R

おすすめ作品8:「スローイング・ダウン ファストファッション 」

アート業界と隣接するファッション業界が、実は鉱業と酪農に続いて世界で3番めに環境汚染に寄与している産業分野である、という事実をご存知でしょうか?

サステナブルな事業活動がより強く求められるようになってきたここ10~20年の間、ファッション業界では大量生産・大量消費による「使い捨て」モデルのファストファッションが大流行。人々はお気に入りの一着を洗って何度も使うより、安価な衣料を大量に購入し、季節ごとに使い捨てる生活様式に次第に染まっていきました。

その裏には、1990年代から続くファッション業界の急速なグローバル化が挙げられます。1着数ドルで購入できるシャツやジーンズは、途上国での低賃金労働による人件費抑制、大規模灌漑による綿花栽培がもたらす水環境資源の蕩尽といった数々の犠牲の上に成り立っていたのです。

本作では、こうしたファストファッションのもたらす環境破壊と、その構造的な原因をわかりやすく解説。使い捨てを是とする大量消費文化に警鐘を鳴らすドキュメンタリー作品となっています。

買い物袋やストローなど、昨今、身近な生活の場面で環境に配慮する行動が定着してきていますが、まさか衣料がこれほど環境へと負荷をかけているのだ、ということは全く知りませんでした。アート業界とも非常につながりの深いファッション業界について、業界全体の問題点をクリアに抉り出した良作でした。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B075RPTWWK

おすすめ作品9:「アイ・ウェイウェイは謝らない」

一連のコロナ対応で情報統制を強める中、新疆ウイグル自治区での民族浄化問題が取りざたされるなど、2010年代以降の中国は民主化とは真逆の方向に一気に舵を推し進めているように見えます。

そんな中、今こそ見ておきたいのが、世界で今一番注目されている中国人アーティスト艾未未(以下アイ・ウェイウェイと表記)の伝記映画です。

「どんなアーティストにも表現の自由を守るという責任がある」と語るアイ・ウェイウェイは、中国共産党という巨大な権力に怯むこと無く、表現の自由を追求する行動的な芸術家です。いや、 「アートがどれほどのものだ」と語り、アートの枠に囚われない活動を志向する彼は、アーティストというより自由を求める活動家であるといえるでしょう。

アイ・ウェイウェイが一躍有名な存在となったのが、北京オリンピックのメイン会場として使われた北京国家体育場(通称「鳥の巣」)の設計です。自由の象徴として「鳥の巣」を設計したのに、政府の情報統制プロパガンダに建物が使われているとして、一転して政府を攻撃。彼は、そのまま北京オリンピックの開会式もボイコットしてしまいます。

さらに、2008年5月に起きた四川大地震では、情報隠蔽に躍起になっていた政府を向こうに、自ら現地に乗り込み犠牲者を尋ね歩き、記録映画をまとめネット上で公開。そして、地震で亡くなった5000名以上の死者のリストを名簿化したインスタレーション作品を発表し、国際的に著名な存在となっていきました。

本作では、アイ・ウェイウェイが残した大量の映像資料や作品群を紹介しながら、家族や友人などへのインタビュー等を通じて彼の人物像を明らかにしていきます。

2011年には北京の工房が政府の指示で強制閉鎖され、”アラブの春”の連鎖波及を恐れた中国政府によって、その後彼自身も逮捕・拘禁されてしまいます。ドキュメンタリーは、彼が釈放されるところで幕となります。

それにしても、たった一人で巨大な権力に立ち向かうのは怖くないのでしょうか。もちろん彼は「怖い」と語りますが、その一方で自分は「チェスの競技者に近い。相手が動けば自分も動く。おとなしくしていれば人生は無難だ。でも、わずかな労力でずっと面白くなる。」と、自らの置かれた状況を楽しむ余裕すら滲ませるタフさには驚かされました。

2015年以降、中国を脱出してドイツで表現活動を続けるアイ・ウェイウェイ。今後の彼の活動からますます目が離せなくなる、真に迫ったドキュメンタリーでした。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B00KZ7SSTI/

おすすめ作品10:「ポロック 2人だけのアトリエ」

アメリカ抽象表現主義の旗手として、その独特の画法「アクション・ペインティング」とともに現代アートの入門書では必ず紹介される画家ジャクソン・ポロック。彼の伝記『Jackson Pollock: An American Saga』に基づき、エド・ハリスがプロデュース兼監督兼主演の3役をこなし、並々ならぬ意欲で制作されたのが本作「ポロック 2人だけのアトリエ」です。

さて、本作のスタートは1941年。見始めて最初に度肝を抜かれたのが、エド・ハリス扮するポロックが「FXXK PICASSO!」と酔っぱらってバーで怪気炎を上げるシーンです。そう、この時代はもう現代アートの最先端で抽象表現を志向する画家たちにとっては、ピカソは過去の人扱いなのですね。

その後、ポロックは何度かの「発見」を経て、キュビスム風の作風から、あの有名な「ドリッピング」による抽象表現主義へと作風を進化させていくのですが、そのブレイクスルーの過程も非常に丁寧に描写されています。

史実に忠実に描かれた作風の変遷や画廊・批評家との人間関係に加え、本作ではポロックの精神面の脆さや危うさが丁寧に表現されているのも注目ポイント。人一倍強い自意識とは裏腹に人前ではシャイで無口な反面、酒に溺れると癇癪を爆発させて凶暴化するという、非常に難しいキャラクターをエド・ハリスが見事に演じています。

ポロックは、スランプに入ってから自暴自棄になることも多くなり、妻にして最大の理解者リー・クラズナーと別居中、愛人と酔ってドライブ中に交通事故で即死。彼が時代の寵児として過ごした絶頂期は、わずか数年間でした。

普段、それほど抽象表現主義の作品群を美術館で目にする機会がない分、こうしたミッドセンチュリーにおける激動のアート界を生きたアーティストの伝記映画を見ることで、作品理解が進むきっかけになりそうです。

作品の視聴はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/B00REX1CB2

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、Amazon Primeで楽しめるアート系コンテンツの中から、映画とドキュメンタリーを中心に10作品を選んで紹介させていただきました。

NETFLIXの魅力がオリジナルコンテンツにあるならば、Amazon Primeの魅力はバラエティに富んだ作品群にあるでしょう。今回は割愛しましたが、NHKオンデマンドや時代劇チャンネルなど、他の配信プラットフォームとの連携配信も大きな魅力。裾野の広い作品群が楽しめるようになっています。

また、配信が気に入ったらストリーミング形式はもちろん、DVDやブルーレイディスクとして物理的に購入することも簡単にできます。このあたりは使いやすさは他の配信プラットフォームの追随を許さないところではあります。

ぜひ、長引く巣ごもりでのアートライフを充実させるためにも、Amazon Primeを最大限活用してみてくださいね。

文・写真 かるび

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